産経新聞も記者派遣へ、コンサルタントしての有力記者争奪戦へ

【ビジネス考察】 産経新聞社(代取:熊坂隆光、飯塚浩彦)が、平成三十一年四月より新聞記者の講師派遣サービスを開始している。記者を企業や学校、地方自治体等の研修や集まりに講師として派遣できる。ジャンルは「政治・批評」「行政」「現代社会」「アジア・朝鮮半島」「国際情勢」「文化・歴史」「スポーツ」「芸能エンタメ」の八つ。


系列のサンケイスポーツと夕刊フジの記者も対象だ。講師一覧のページには百人を超える記者が顔写真付きで所属、講演テーマと得意分野を明記している。


朝日新聞社では産経と同様の形式で講師を派遣。読売新聞では、全国の小中高校に記者を派遣し、取材方法や記事の書き方、写真の撮り方等を「出前授業」として行う。毎日新聞は大人向けと小中高校に派遣。日本経済新聞も「法人研修メニュー」の一環として記者を派遣。今回の産経で主要な新聞の記者講師派遣が出揃った事になる。


ビジネスとしての利用企業のメリットは、大きく二つあるだろう。単純に一次情報を取材する記者達の知見を得る事と新聞記者との伝手を得れる事だ。


前者では有望な社員ないし全社員に対し、例えば、現在の経済の状況と依頼企業との関係性を学ぶ事ができる。競合の話も含んでくれれば、社員達の仕事意識も変わるだろう。記者は非常に特殊な職種で、ある一分野に限ってだが、圧倒的に情報の収集力に長けている。例えば、自動車各社が互いの情報や空気感を知り得る方法は少ないが、記者であれば、取締役や現場の意見をヒアリングできる。特に記者クラブに属す新聞記者は優位だ。A社からD社までの、その時の情報を比べ、バランス的に考察する事ができる。ビジネス誌の記者も同じ様に秀でている。


後者は企業として重要であろう。まず、そのジャンルの新聞記者に自社をしってもらう事は重要な事は言うまでもない。新商品や新サービスの発表時に寄与してくれる可能性がある。


現在では、まだまだ記者達を活用する動きは少ない。だが一部の上場企業等は記者達をコンサルタントの様に接する。首相も定期的に記者(主筆)達と懇談するのは、情報を得る為のコンサルタントしての価値を利用している。AIの発達で記事は一部を機械化できるが、足を運んだ取材の価値は今後、益々高まる。有力な記者達を自社のコンサルタントにする事ができれば、ビジネスの優位性は高まるであろう。


記事:羽田野正法

画像:講師派遣サービス/産経新聞社

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