AI先生『atama+』の大手導入は二割強に、受験を圧倒的に効率化

【ビジネス報道】 令和元年六月十三日に東京・人形町にてEdTechのスタートアップ企業のatama plus(代取:稲田大輔)が記者向け体験会を初めて行った。平成三十年に創業し、二社から二十億円を資金調達。報道現在で大手塾の二割強に同社のAI「atama+」を導入。中学生の数学、高校生の数学、英文法、物理と化学に対応している。


特徴はタブレットを用い、個々人に合わせてAIが勉強の順序(カリキュラム)を決める点だ。カリキュラムのパターン数は、十の三千八百七乗通りもある。本AIで学習した生徒は、昨年のセンター試験(数1A)において得点の伸び率が平均で五十.四㌫も上昇(冬期講習の二週間)。センター試験の模試では、四十点台から八十点ちかくまで取れた生徒も複数いた。八十点まで取れれば、大方の公立大学は通る。


効率的に成績が上がる理由は、従来の「パターン学習」とAIの「完全習得学習」との違いによる。前者では教科書の順に学習し、理解が不十分でも次ぎに進んでしまい、躓いている箇所を放置する。後者では躓きの根本の単元から学習し、完全に理解してから次ぎに進む。体験会でも間違った部分では中学、小学まで遡り、集中的に学習をし直す。


仕組みとしては、AIで躓きの原因を先ず特定する(診断)。次に躓き部分の原因である下の学年の単元を簡単なテストで確認(演習1)。原因で誤って覚えている、ないし覚えていない部分を五分ほどの動画で勉強(講義1)。続いて簡単なテスト(演習2)。ここまで終わってから最初の躓き部分を再び動画で勉強(講義2)。そして最初の診断部分を再挑戦する。

回答を間違った部分では答えを見せないのがポイントだ。


本AIでは単元同士の複雑な繋がりを考慮。統計学や「忘却曲線」を用い、忘れかけた時に記憶の強化を図る事も行う。この様に本AIは生徒の「得意」「苦手」「伸び」「つまづき」「集中状態」を分析し、生徒専用のレッスンを作り出す。宿題等は生徒のスマホへアプリを通じ、送る。実際の教室で先生はコーチングに徹する。AIのティーチングと人のコーチングを役割分担し、人の先生はコーチング専用アプリによって生徒達の進捗状況や集中力の低下を察知してサポートしている。


三十代の稲田代取(辛酉)は「AIだけで教育は、」と人の先生が不在の教室を敬遠。AIと人の最適な組合せを模索している。また日本はEdTechに関して後れをとっているが、「(日本市場は)ポテンシャルをもっている。」と自信を示す。理由は他国には少ない公教育以外の塾システムだ。この塾からイノベーションを起せるものと考える。同社の集計で教育市場規模はグローバルが四百兆円台、日本が三十兆円程度、学習塾・予備校は一兆円程度。


本AIをもって基礎学力の習得への時間を大幅に減らし、余った時間を「社会で生きる力」の習得に振り向けたい。稲田代取に聴くと、既に人生でのキャリア プランニングや今後の社会とAIの在り方等を大学生と生徒達が話し合ったりしているという。生徒達は大人になる事を「辛い」と感じている様で、「社会に出るって愉しい事だよ。」という事を教えていきたい。


本AIによるカリキュラム作成は体系化されている学問に向いており、大学の学部(法学部等)や上級国家資格(国家公務員・総合職)等への応用も視野に入っている。社会人のリカレント教育にも貢献できる可能性が高く、企業としての伸び代は相当ではないだろうか。


撮影記事:金剛正臣

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