経産省が『DX推進指標』を公表、未着手企業のDXの進め方が分かる

【ビジネス報道】 経産省(大臣:世耕弘成)は、令和元年七月三十一日にデジタル経営改革の為の評価指標『「DX推進指標」とそのガイダンス(サマリー)』を取り纏めて公表した。本指標は、各企業が簡易な自己診断を行う事を可能とする。経営幹部や事業部門、DX(デジタル トランスフォーメーション)部門、IT部門等の関係者間で現状や課題に対する認識を共有し、次のアクションに繋げる気付きの機会を提供する事が目的。


経産省は、日本の企業のDXが実際のビジネスの変革に繋がってないと判断している。


併せて、取締役会での議論の活性化に資する観点より、コーポレート ガバナンス・コードにおいて実施が求められる取締役会の実効性評価にも活用できるものとして「DX推進における取締役会の実効性評価項目」も策定した。更に、各社が他社との比較によって自社の状況を把握できる様に、中立組織(九月選定予定)が自己診断結果を収集・分析し、比較可能となるベンチマークを作成する。

ベンチマークの作成には、各社の自己診断結果を中立組織に提出する。中立組織が選定される迄は同省へ提出となる。



『DX推進指標』は以下の二つから構成。定性指標は三十五項目(上図)。現在の日本企業が直面している課題や解決する為に押さえるべき事項を中心に項目を選定した。


  1. DX推進;DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標(「DX推進の枠組み」(定性指標)、「DX推進の取組状況」(定量指標))
  2. ITシステム構築;DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標(「ITシステム構築の枠組み」(定性指標)、「ITシステム構築の取組状況」(定量指標))


本指標は自己診断が基本であり、定性指標においてDX推進の成熟度を六段階で評価。レベル〇が未着手、レベル五が「グローバル市場におけるデジタル企業」となる。未着手の中小・零細はレベル二「一部での戦略的実施(全社戦略に基づく一部の部門での推進)」を目指すべきだろう。同省も全てのDX推進の定性指標ではなく、企業が任意で選択する事を薦めている。例として「三年後に目指すべき数値目標を設定し、毎年に定量指標を算出する」等。ITシステム構築に関しても、各項目について定義は設けず、基本的には各企業の判断で数値の定義付けを推奨している。


特に「取締役会の実効性評価項目」は手厳しい問いが並ぶ。例えば「当社の取締役会は、データとデジタル技術を活用したビジネスモデルの変革に関する十分な知見や問題意識を有する取締役を(少なくとも一名)選任しているか」や「当社の取締役会は、DX推進に必要な人材の育成・確保に向けた取組が行われているかどうか適切に監督しているか」等と、デジタルに疎い取締役会を忌避している。

但し、既に企業のデジタル戦略は経営戦略と同義なので、当然ではある。


記事:羽田野正法

画像:経済産業省

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