中国は鈍化、米欧は回復|世界経済の潮流 二〇一九 Ⅰ

【経済報道】 内閣府(総理:安倍晋三)は、令和元年七月三十一日に本年の世界経済の潮流Ⅰ『米中貿易摩擦の継続と不確実性の高まり』を公表した。政府は年に二回、世界経済の分析結果を国民に報告している。


世界経済は全体としては緩やかに回復。本年の成長のペースは昨年よりも低下。だが来年には回復する見込みだ。原油価格は五月以降で下落していたが、中東情勢の緊迫化を背景に上昇している。


主要トピックは米中の経済戦争まで昇華している貿易摩擦。米中双方共に関税賦課を三回ずつ掛け合っており、米国側の四回目となる「三千億㌦相当・最大二十五㌫追加関税(携帯電話 ノートパソコ)」は報道現在で当面実施しない。三回目までの対中輸入依存度は十五.七㌫であるが、四回目を含めると二十三.二㌫まで上がる。


この摩擦が米中の輸出に与えた影響として、米国側は昨年半ば以降で中国向け輸出の減少が継続、中国側は昨年末頃より米国向けを中心に伸びが低下。日本向けも低下した。輸出の国別シェアに関し、米国側は今世紀初めに中国が日本を抜いたが、本年第一・四半期には中国は六.五㌫と日本の四.五㌫に迫る。一方の輸出は同時期にEUに抜かれ、十八.八㌫までシェアが落ちた。


他の国・地域、台湾とベトナムも分析。共に中国向け輸出が低調で、対米輸出が急増。代替輸出が進んでいる可能性を示唆した。


米国経済自体は堅調な雇用・所得環境の下で、世界金融危機以降、約十年の長期に亘って景気回復が続いている。FRB(米連邦準備理事会)は一月以降、政策金利を引上げから据え置き。企業部門の債務の増加には注視が必要、とした。FRBは七月三十一日に十年半振りに政策金利の利下げ(〇.二五㌫)に踏み切った。米統領は更なる利下げを求めた。


一方の中国経済自体は緩やかに減速。内外需ともに鈍化する中、本年に入り、製造業投資の伸びは急速に低下。生産の伸びも低下傾向。だが金融緩和を背景に、銀行貸出を中心に融資は増加している。


ユーロ圏経済自体は良好な雇用環境を背景に、内需を中心に緩やかに回復。昨年末頃から米中向け輸出が鈍化。英国経済は、EU離脱期限の延期により、駆込み需要や前倒し生産等の影響がはく落へ。七月二十四日には新英首相が誕生した。


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