スマホで偏差値が減の科学的データ、最も弊害があるアプリは

【人生考察】 「週刊新潮/新潮社」の八月十五・二十二日号で特集『「スマホ」が危ない』が組まれた。副題は高齢者と子どもを蝕む「脳の病」。スマホの子どもへの弊害を指し示す科学データを報じた。だがスマホ長時間使用の弊害は、成人にも及ぶものとみられる。


今回は東北大と仙台市教育委員会の調査を基にしている。小学生と中学生を九年間も追跡調査した。同教育委にはニンテンドーDS「脳トレ」の監修者で東北大「加齢医学研究所」の川島隆太(己亥)所長が参画。川島所長は本研究を米・学術誌「Human Brain Mapping/ジョン・ワイリー・アンド・サンズ」に投稿。採択された。


結論は、スマホの一日一時間以上の使用で偏差値が下がる、という事実。勉強中のアプリの内で「LINE」「動画」「ゲーム」「音楽」の順で平均偏差値を下げる。「LINE」と「音楽」の偏差値の差は一.五以上。「LINE」が特段、偏差値に影響を与えている。


理由は、脳の灰白質(上図の矢印・黄)と白質(赤)が増加しないからだ。前者はニューロン(神経細胞)が集まっている部分で、知覚・随意運動・思考・推理・記憶等の高次な機能を司る大脳皮質等がある。後者はニューロンの連絡路。共に知的能力だけでなく、運動能力でも重要な脳の部分だ。ここの細胞が成長しなくなってしまい、偏差値が上がらない。

詰まり、馬鹿になる。


今回の子ども達は第一次性徴期にあたり、第二次を含んでいない。また成人も含んでいない。第二次と成人は子どもよりもスマホを多用していないだろうか。ならば、その弊害は如何程なのか。第一次の子ども達の研究では回復(リカバリ)も追っており、事象が認められた。だが成人は危うい。最悪はアルツハイマ(下図)等が挙げられる。回復できない、という事だ。


思っている以上に灰白質と白質は重要で、成人ではIQに深く関与する。IQが高ければ社会的成功を収める可能性は高く、低ければ成功可能性も低くなる事は数多の研究で立証されている。スマホを使用し過ぎると、IQ≒所得が下がるという帰結に辿り着く。何故ならば、今回に調査した四アプリは成人も使用している。


「LINE」が最も弊害を起す理由は単純だ。超短文コミュニケーションで成立するからだ。文になっていない時も多くあるだろう。対局が超長文コミュニケーション。例えば論文等がある。まずは文を作る事、作った文が文法的に誤ってないか、他の表現方法がないか、その言い回しは相手に不快感を与えないか等を考える。小中学生の段階だ。高校・大学ともなれば、論理を学び、論理自体が間違ってないか、発想の転換・飛躍等が求められる。



今回の調査は十年ちかくに及ぶ。成人の顕著となる弊害も十年単位で考えなければならない。


灰白質と白質が減少すれば、短気になる。物忘れが激しくなる。相手が何を思っているのか、が分からなくなる。人として生きていく上での弊害が大きい。当然、論理思考は崩壊的になるだろう。ただ減少しても回復すれば良いが、回復する保証は成人には無い。だからアルツハイマ等が大病である。だが脳の成長は身体と異なり、年齢を重ねても可能だ。



重要な事は灰白質と白質という脳の財産(ストック)を守り、脳の筋力(フロー)を鍛える事だ。


スマホ・タブレットを使用禁止にする事は厳しい。そしてPCでは、ここまでの弊害が報告されてない。スマホ・タブレットの圧倒的な光量・情報量・一本指操作・画面との距離・デジタル空間での虚無感(心理)をマネジメントする必要があるだろう。特にデジタル空間での虚無感は相当に意識をしないと、不安定なデジタル空間に精神を捕らわれてしまう。アナログ空間では手や足で現在地を触れる事ができる。だがデジタル空間では着地点が皮膚感覚的に存在しない為に、精神が不安定になってしまいがちだ。


デジタル上の行動が過度になると、人間の心と身体が一致せず、遊離してしまう。だから飢餓状態に陥り、スマホ依存症へと突き進むと考えられる。心が安定しない世界で漂い続けているのだ。


極端、デジタル コミュニケーションが崩壊しても問題は無い。脳の機能が健全ならば。アナログ コミュニケーションで心の安定を創られたい。そして成人の報告が出るまで放置してはならない。恐らく、灰白質と白質の量はちゃんと戻らないだろう。


記事:金剛正臣

画像:週刊新潮 2019年8月15・22日夏季特大号/新潮社、白質と灰白質、大脳皮質/脳外科医 澤村豊のホームページ、認知機能障害(認知症)/Akira Magazine

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