【政治報道】 令和二年五月三日は『憲法記念日』。立憲君主制だった大日本国憲法から立憲民主制の日本国憲法に変わって七十三年が経った。武漢肺炎に係る緊急事態宣言下で各政党が声明・談話等を公表した。憲法に係る部分を抜粋する。下線はハイム。セミコロン内の前部は改憲項目、後部は第九十六条(国民投票)の先行改正の可否。
<右派>
自由民主党(総裁:安倍晋三);安保に関わる自衛隊・統治機構のあり方に関する緊急事態・一票の較差と地域の民意反映が問われる合区解消・地方公共団体・国家百年の計たる教育充実、〇
「この様な国難に直面した際の国民の命と暮らしを守る為の国家の在り方について、日頃から、各党が胸襟を開いて真摯な議論を行う事が立法府の責務であり、その為にも、衆参両院の憲法審査会の下で、憲法に関わる重要論点の議論を深めて行く事が、今求められていると考えています。」
日本維新の会(代表:松井一郎);教育の無償化・統治機構改革・憲法裁判所、〇
「日本国憲法は施行から七十三年を経て、時代にそぐわない部分が生じている事とは言を俟たない。憲法改正は時代の要請であり、国会が発議し、国民投票をもってそれを果たす事が立憲主義の真の姿である。
しかし、国会での憲法改正を巡る審議は遅々として進んでいない。今国会においても衆参両議院の憲法審査会の扉は固く閉じられ、各党が忌憚なく意見表明する自由討議が封じられたままである。憲法について不断に論じるべき国会議員が惰眠を貪っている場合ではない
…パンデミックを終息させるには、強制力が伴わない行政の要請だけでは困難な側面がある。現実に憲法に有事の際の政府権限を定める緊急事態条項を創設する議論が必要である
…国民主権を掲げる憲法が一度も国民投票を経てないのは大いなる矛盾である。国民が主権を行使する国民投票を実施し、真に国民の手により憲法を定める事が憲法のあるべき姿と考える。」
<左派>
公明党(代表:山口那津男);不明、△
「新型コロナウイルス禍の難局に対し、生存権を保障した憲法の真価をどう発揮させるかが問われている。移動や営業の自粛といった私権の制限は、憲法十三条等からも必要最小限で合理的な範囲内で是認されると考える。」
立憲民主党(代表:枝野幸男);立憲的憲法論議、×
「憲法二十五条一項は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と定めています。新型コロナウイルス感染症は、この『健康な生活』を、その影響は『文化的な最低限度の生活』を脅かしています。
憲法記念日に際して、私は、憲法が定めるこの国民の権利を本当の意味で確保する為の政治が、今こそ求められていると考えます。それは、目の前の危機管理として、『命と暮らしを守る』その事だけに留まりません
…一部から、「感染拡大防止に向けたより強力な私権制限が必要であり、その為に緊急事態に関する憲法の規定が必要だ」との指摘があります。しかし、この指摘は明らかな事実誤認である事を明確にしておきたいと思います。
憲法の保障する『人権』は、決して制約のないものではありません。憲法十三条でも、『国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする』としており、緊急時ではない平時でも、『公共の福祉』による制約を受けます。緊急事態の下では、『公共の福祉』による制約がより大きくなる事も当然の事とされています。」
国民民主党(代表:玉木雄一郎);地方自治の本旨・自衛権のあり方・解散権の制約・知る権利等、〇
「現政権による便宜的・意図的な憲法解釈の変更は、憲法の規範性を弱め立憲主義に反するもので容認できません。また、公文書の隠ぺい、改ざん、廃棄は、国民の知る権利や議会制民主主義を根底から脅かす深刻な問題です。更に、我が国の主権を必要以上に制限している日米地位協定は早急に改定すべきです。」
日本共産党(委員長:志位和夫);無し、×
「外出自粛や休業要請と一体の補償を行う事をはじめ、国民の生活を支え、事業の継続を支える為に力を尽くさなければならない。それは感染拡大を防止する政治の責任であると共に、個人の尊重と幸福追求の権利(十三条)、生存権(二十五条)と財産権(二十九条)等、憲法が保障している国民の権利を実現する政治の責任である。」
社会民主党(党首:福島瑞穂);無し、×
「緊急事態条項を持ち出して改憲論議を進めるなど、到底認める事はできない。」
れいわ新選組(代表:山本太郎);無し、△
「今やるべきは、人々の生存権をどんな手を使ってでも死守する、憲法を守る政治だ。」
<無派>
NHKから国民を守る党(党首:立花孝志);無し、△
「国会は速やかに憲法改正案を発議し、直接民主制の原点である国民投票に付し、国民の皆様の判断を得なければなりません。」
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