【芸能考察】 bizlinTV/報道府は、令和二年五月五日の「こどもの日」に啓蒙・回想動画『中・高度経済成長期の「子ども向けオープニング&メインテーマ集」』を公開した。こどもの日に公開しているが、子ども向けではなく、大人向けとなる。およそ三十年間を四十分に詰め込んだ。
子どもへの教育は国力の基本だが、当時はTV・映画も子ども向けコンテンツに力を入れていた。作品の色を決めるオープニングやメインテーマには今とは比べ物にならない程に大人が力を込めていた。作品への情熱や作中で訴えたい事をオーケストラを中心として、子ども達へ大人の本気の音圧を伝えていた。
それを証明する為の動画であり、子どもの教育を考える上での先達への表敬である。
戦後、日本の「高度経済成長期」は昭和二十九年から四十五年までの十六年間。実質GDPの成長率が十㌫前後以上の期間を高度経済成長期という。毎年一割も増えていく。動画は四十三年に放送された「妖怪人間ベム/フジテレビ」から始まる。
主軸は「中度経済成長期」の作品群だ。成長率が五㌫前後を中度とした。四十六年頃から平成三年のおよそ三十年間に亘って成長率は平均で四㌫だった。確実に毎年、増えていく時代だ。「ルパン三世/日本テレビ」から始まり、やや前後するが「ゴジラ対キングギドラ/東映」で終わる。内、バブル期(昭和六十一年から平成三年)までの名目GDP成長率は平均で七㌫を記録。華やかであった印象のバブル期はあくまでも名目。実質は平均で五㌫程度であった点がポイントだ。
成長率だけを視れば、極端にバブル期だけが華やかであった訳ではない。
ルパンや「ゲゲゲの鬼太郎/フジテレビ」「ドラゴンボール/同」等と今でも現役のIP(知的財産)である点は大変に優れていると言える。本年四月には「科学忍者隊ガッチャマン/フジテレビ、日本テレビ等」が米・ハリウッドにてオリジナル ストーリーの実写版になる旨が公表された。オープニングやメインテーマの貢献度は低いだろうか。
平成四年から八年までは「積み増し期(一般的にはバブル崩壊)」とした。その後の「平成不況」に入る前の最後に踏ん張った期間だ。既にGDPは下降トレンドに入っていた。最も重要な視座は、平成不況以降で名目GDPが「二十年掛けて一㌫程度しか増えていない」事だ。平成二十八年にはGDP算出の基準改定を行い、二十兆円も嵩上げしたにも関わらず、平成時代の大人の体たらくは目に余る。
だが「美少女戦士セーラームーン/テレビ朝日」や「新世紀エヴァンゲリオン/テレビ東京」は未だ現役だ。「サクラ大戦/セガ、TBS等」は新シリーズが本年四月から放送している。このサクラ大戦以降、何の符合か日本経済が止まってしまっている状態だ。
ならば活路はアニソン等にあるのではないか。当該動画を視聴すれば、年代を下る毎に楽曲の音圧が軽くなっていってしまっている点に気が付くだろう。作品毎に作る楽曲から作品に宛がう楽曲へと変節してしまっている。音の作り手の気持ちは今も昔も変わらないだろうが、作品自体の作り手であるプロデューサやディレクタが音つくりを軽んじてしまっているのではないか。
強い経済に強い子どもは欠かせない。子どもが弱ければ、経済も弱い。
その大人の強さを音で中・高度経済成長期の大人達は伝えてきたのではないだろうか。歌詞も重いものが多かった。難しい表現もあったが、子どもなりに付いていっていた。今回に取り上げた期間に子どもだったのは、バブル世代と氷河期世代である。この二世代が時代の為に、再び子ども向けコンテンツで音を大事にしてはどうだろうか。できれば音の階層、深遠等からオーケストラが欲しい。
まだ、やれる事がある。
以下の作品が当該動画で使用したアニメ・特撮のテレビ番組・映画のオープニングやテーマ集。
- 妖怪人間ベム
- ルパン三世
- 科学忍者隊ガッチャマン
- 仮面ライダーV3
- ウルトラマンタロウ
- 宇宙戦艦ヤマト
- Dr.スランプ アラレちゃん
- 科学戦隊ダイナマン
- 宇宙刑事シャリバン
- キン肉マン
- ゲゲゲの鬼太郎
- ハイスクール!奇面組
- 機動戦士Zガンダム
- 天空の城ラピュタ
- 聖闘士星矢
- シティーハンター
- 魔神英雄伝ワタル
- ドラゴンボールZ
- YAWARA!
- きんぎょ注意報!
- ゴジラvsキングギドラ
- 美少女戦士セーラームーン
- SLAM DUNK
- 魔法騎士レイアース
- 新世紀エヴァンゲリオン
- サクラ大戦
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