若手は、人生設計における四期間を把握する|年金改革関連法

【人生コラム】 令和二年五月二十九日に『年金制度 改革関連法』が成立した。公的年金の受給開始年齢を来年から七十五歳まで繰下げられる。年金の受給開始は現状で原則・六十五歳だが、五十歳未満の若手(氷河期世代以降)が年金を受取る頃には原則・七十歳になっている可能性がある。


人生設計としては、甘い見通しではなく、現実的な見通しで考えていく必要があるだろう。七十歳ならば、二十歳スタートで実に五十年間も働く前提だ。年金を受取り始めても、プラスで働いた方が良い事は現状のシニアをみても分かる。

何よりも未来を考えない事が、最悪なパターンを招く。



 現段階で昭和四十五年生まれ以降の男子は、四割の確率で九十歳まで生きる。女子は七割に迫る勢いだ。年金の受給開始まで後二十年以上もあるので、医療等が向上し、九十歳まで生きる確率が更に上がるだろう。


FP(ファイナンシャル プランナ)しかない業務の一つに「人生設計(ライフ プランニング)」がある。米国では弁護士よりもFPが稼げる理由が、これだ。長い人生で何時、幾らお金が必要なのかを収入の推移を予測しながら、顧客と考えていく。資産形成が目的だ。当然、キャリア形成にも助言したりする。人は人生を漠然と捉えており、死ぬまでの設計をしないもの。つまり「人生に計画なし」が多い。これでは闇雲に生きているのと同じで、失敗する確率が高い、いや、まず成功はしないだろう。



若手は闇雲に生きず、現実的な未来を考えていく。


最上図のように人生には四つの期間がある。

  1. 二十歳~三十歳:勉強期;社会人となって、学生時代までの常識を社会の常識に変え、社会の仕組みを覚える時(借入金は、百万円単位)。
  2. 三十歳から五十歳:挑戦期;十年かけて覚えてきた仕事や社会の仕組みをもって、自身が人生で挑戦する時(借入金は、一千万円単位)。副業からの独立など。収入を複数源つくる時。
  3. 五十歳から七十歳:采配期;二十年かけて失敗してきたことを土台に、成功に導くチームや組織を回していく時(借入金は、億円単位)。人材育成が肝。
  4. 七十歳から九十歳:年金期;二十年かけて育ててきた組織から離れ、株主として配当を得たり、新たなスモール ビジネスを始める時(借入は控える)。健康に注力し、働ける身体づくりを行う。


この四つの期間は目安でしかない。人によっては前倒しする人もいるだろう。だが後回しだけはやめておいた方が良い。二十歳から社会に出れば、七十年間も働く時間がある。昭和・平成時代とは生き方がまるで異なることを理解しよう。


なので、今までの人生で最も高額な買い物「住宅」を安易に買ってはいけない。令和時代の基本戦略は「いつでも、どこでも移動できる状態」にしておくこと。住宅はあくまでも、余裕がある人が買うものと知ろう。それまでは賃貸で良いのだ。七十年間も同じ場所で仕事をし続けることは、リスク(新たな機会を得れない)でしかない。



人生三大費用から四大費用の時代へ

 人生を設計する上で失敗しやすい方法は、今年から来年、再来年と順繰りに未来を考えていくこと。おすすめできない。逆に、未来からさかのぼって考えていくことが望ましい。九十歳となると遠すぎるので七十歳、五十歳、三十歳の二十年単位で、その時の収入を考えていく。

その為に逆算して今、何をやるべきかをスケジューリングしていくのだ。


FPでは「住宅」以外にお金がかかるものとして、「教育」がある。今までは子どもの教育だけだったが、これからは大人の「リカレント教育」も収入維持・増加に関わってくる。後は「老後」と「介護」だ。住宅・教育・老後は人生の三大費用と呼ばれていたが、教育は親自身も含み、新たに介護が入ってきた。


大雑把に考えよう。住宅は買うのか、子どもは何人欲しいのか、自分自身のリカレント教育は何回にするのか、老後にはどれほどの金融資産(預金や株式など)を持っていたいのか、自身の親の介護はどうするのか。



やってはいけないこと

 これら金額を大まかに把握することで、人生設計は半分が終わる。後はひたすら収入増借入増の計画をする。どのように計算しても「借入なし」で人生を設計できない。今の若手に至っては、更なる借入(信用)が必要だろう。今の無難策は、未来の危機でしかない。


FPに頼めば、紙にまとめてくれる。この、紙で見る、眺めることはとても重要なことを追加しておきたい。お金をたくさん借りれる“信用づくり”が若手の目先のやることなのだ。決して好き嫌いや感覚で生きてはならない。社会が信用しない。お金と信用がなければ、人は生きていけないのだ。特に人との信用を大切に。


記事:羽田野正法

画像:FPhime、年金改革法が成立 7つのポイントを解説/日本経済新聞



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