【ビジネス ニュース】 経産省(大臣:林幹雄)は、平成二十八年五月十日に第五回となった「アパレル・サプライチェーン研究会」を開き、資料『第五回 アパレル・サプライチェーン研究会報告書骨子(案)』及び参考資料集(画像引用)を公開した。アパレル産業は他の産業に比べサプライチェーンが弱く、ビジネスのスピードや連携が充分でないとの前提で、業界の課題や強みの活かし方、将来展望と「アパレル・サプライチェーン・ビジョン」を提示した。
サプライチェーンとは、製造業において「原材料調達・生産管理・物流・販売」までを一つのシステムと見做す名称だ。同骨子において、繊維産業は日本の主力産業であった点や日本の素材が現在、欧米のハイブランドに使用されている点を踏まえ、衰退するアパレル産業界が反転攻勢する機会が現在であると危機感が強い文言が並んだ。
<無駄な商慣習を捨てよう>
課題は、「企画・流通・販売」と「製造(素材・縫製)」に大別された。前者では、消費者ニーズを捉えたマーチャン ダイジングやオムニチャネル化、ビジネス モデルの変更等が挙げられた。後者では、受け身の姿勢や新規顧客開拓、デジタル化及びネットワーク化等が挙げられた。共通課題として、非合理的な商習慣を指摘。業界自体をその商習慣で劣化させていると苦言した。また海外進出やM&A等の解決策も例示した。
強みは、素材やデザイナ、商品開発、デジタル技術。活かし方は、海外を前提として「アッパーミドル市場」を指し、輸出・現地生産・M&Aを挙げた。将来展望では、国内の頭打ちより新興国における国内企業のプレゼンス(存在感)を有望視。日本の比較優位を素材開発と加工技術に絞った。更に「企画・流通・販売」と「製造(素材・縫製)」の具体的な方向性を指し示した。
尚、委員は以下の十一名。
- 荒木秀夫 ㈱佐川急便 代取
- 尾原蓉子 ㈳ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション 会長
- 軍地彩弓 ㈱gumi-gumi 代取/「ヌメロトウキョウ」エディトリアル・ディレクター
- 小島健輔 ㈱小島ファッションマーケティング 代取
- 茶村俊一 日本百貨店協会 会長(J.フロントリテイリング㈱ 取締役会長)
- 下村彬一 日本繊維産業連盟 会長(東レ㈱ 相談役)
- 鈴木純 日本化学繊維協会 会長(帝人㈱ 代取)
- 廣内武 ㈳日本アパレル・ファッション産業協会 理事長(㈱オンワードHD 代取)
- 藤野直明 ㈱野村総合研究所
- 藤本隆宏 東京大学大学院 経済学研究科教授 ものづくり経営研究センター長
- 山田保裕 日本繊維輸出組合/日本繊維輸入組合 理事長(三菱商事㈱ 理事)
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