投票する時に必要なものは「ちょっとした興味」で大丈夫

【社会・政治コラム】 『都知事選』と「都議補選」が終わった。報道府ができたばかりの十年前とは異なり、SNS上で政治の話題が多く出るようになった。若者を含む若手も、些細かもしれないが、政治に触れるようになってきた。若手向けに政治を報じてきた甲斐がある。


そして、ところどころに選挙の投票について不安な投稿・コメントが垣間見える。

「自分が正しいのか」「自分は合っているか」など。


結論は前提として全員、正しい(違法は除く)。正しい全員が思いおもいで投票して、多数決で決着するのが民主主義。そして投票する時には選挙・政治への「ちょっとした興味」で充分だ。それもあなたの意見・意思。



そんなラフで良いのか?

理由を説明しよう。

 まず今の政治的状況は、過去の有権者たちの投票結果が積み重なったものである。若ければ若いほど、今の結果には関与してない。逆に老いれば老いるほど、今の結果に関与してきている。シニアが過ごしやすく、若い人が苦労する状況を選んできたのは、上図より今のシニアと中堅だ。

下であればあるほど、B「高齢者のために使ってほしいか?」が優勢となる。未婚の男女シニアと女性シニアが自分(シニア)ファーストである。裏返せば、子・孫を含む若手のことは犠牲にするということ。実際、「世代会計(下図、最新)」よりそうなっている。


では彼らは正しいのか。自身たちが満足していれば、正しい判断だったということになる。



 ところで彼らは正しい判断をするに充分な知識はあるのか。答えは否とみなせる。選挙・政治に関しては無知に等しい。例えば都知事という職業。年に十四兆円の予算、三十五兆円ほどの総資産を担当する。この時点で必要な知識は「簿記」だろう。財務諸表(都の家計簿)を読めず、都政を運営できるだろうか


次に都議会と話し合う条例(法律の都道府県版)がある。「法学」を知らないで条例を制定できるだろうか。国に同じで基本的に条例は行政の長、都知事がつくる。法学部を出れば法学士だが、今の都知事は文学士。それ以前の三代は法学士だった。


最低でも、この「簿記」と「法学」は都知事に求められる知識だろう。もちろん、他の都道府県の首長(県知事や市長など)にも求められる。この二つを知らないのに、その地域の行政運営がうまくいくと思う若手は、いないのではないか。


だが事実は、今回の都知事選のように不問であった。

せいぜい大学卒か、否かだけ。



無知でも判断して投票している事実

 なぜか、シニアの有権者の学歴が若手に比べて相対的に低いからだ。大卒どころか、簿記一つ理解できないシニアは圧倒的に多数である。

「あなたのお母さんは簿記を知ってますか?」

「お父さんは法学士ですか?」


それでも、シニアはずっと投票してきて「今の若者は。」と言う時はないか。つまり選挙・政治に対して精緻な判断ができない状況で投票をしてきている。だからシニアの圧倒的多数はTVに出てる人(イメージ)から選ぶ、または弁護士(先生)を選ぶ。



どうだろう。今の若手は投票について深く考え過ぎじゃないだろうか。ろくに「簿記」「法学」を知らないシニアの有権者が都知事候補に投票してきているのだから。


だから、若手も最初はイメージや雰囲気で選んで良いのだ。シニアもそうしてきた。


ただ選挙を重ねるたびに、少しずつちょっとだけ学んでいけば良い。


 最初はイメージ・雰囲気、次に政策のチェック(なんとなくの理解)や街頭演説の雰囲気、次に自分の代弁者を選ぶ(ここも雰囲気)、そしてようやく、ちゃんと選び始める。

これを六十歳ぐらいまで時間をかけても良い。事実、シニアは未だにちゃんと人(簿記・法学の知識の有無)を選べない。


どうだろうか。「真剣に考えろ!ちゃんと投票しろ!」という者に簿記・法学の知識はあるのだろうか。あなたに知識があれば、簡単な質問で確認できるだろう。



若い世代からちゃんとした人を選び、育てていこう

 立候補している者にも簿記・法学の知識はあるだろうか。その選挙が国政や首長の選挙なら簿記・法学の知識は欠かせない(今までは無知でも通用した)。だが若者で簿記・法学の知識が両方あるのは、珍しいので、そのために市区町村の地方議会選挙がある。


ここはイメージで選んでも大丈夫。市区町村の地方議員ひとりでは、ろくに何もできないからだ。小さい単位だが、四年かけて地方自治(簿記・法学)を議員が学ぶ。自信がついたら、市区町村よりも大きい都道府県の地方議会選挙に挑戦する。そこでまた四年学んだら、ようやく国政(衆議院議員選挙・参議院議員選挙)だろう。


優れた指導者・先輩がいれば、飛び級で学ぶこともできる。


つまりは、有権者とともに議員たちも成長していくことが目的なのだ。だから最初は「ちょっとした興味」だけで良い。お互い(有権者・議員)、最初は無知で問題ない。問題はずっと六十歳になってもお互いに無知なことだ。これでは良い政治(成果)を期待できない。


「選挙・政治への知識が充分なのか」

こんな問いには正確に答えられない。充分の基準がないし、ろくに学ぶ仕組みがそもそもない。だが、簿記は等級で知識の有無がわかる。法学も法学部を出れば良い。政府もリカレント教育を推進している。資格と称号(法学士)は明瞭だ。



今の若手が本気にならなければならないのは、社会の実権を握る六十歳になるころから。

それまでは、ちょっとずつ学んでいけば良い。

今と同じ「シニア ファースト」の政治が良いのか、「子・孫ファースト」の政治が良いのか。


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