夏の参院選は、安倍総理ないし別総理を選択の選挙に

【政治ニュース】 平成二十八年五月三十日に朝日新聞(代取:飯田真也、渡辺雅隆)は、記事「野党4党、31日に内閣不信任案提出 与党側は否決方針(写真引用)」を配信し、本日に衆院にて民進・共産・社民・生活が『内閣不信任決議案』を提出予定である旨を報じた。四百七十五議席中、三百二十六議席を有する与党の自民・公明は、本決議案を否決する見通し。


二十九日に日本経済新聞(代取:岡田直敏)は、『伊勢志摩サミット』の成果により内閣支持率が五十七㌫に上昇した事を伝えた。特に、オバマ米国大統領の広島訪問が「評価」九十二㌫と突出した。


三十日に産経新聞(代取:太田英昭、熊坂隆光)は、財務大臣でもある麻生太郎 副総理が安倍晋三 総理大臣の消費増税の二年半再延長及び衆院の非解散について、強い異論を唱えたと報じた。



=解説=

 日本は大切な局面に入った。それは七月の『参院選』が、安倍内閣自体が続投するか否かの分岐点になったからだ。もし続投できず安倍退陣となる場合は、麻生副総理か岸田文雄 外務大臣、ないし谷垣禎一 幹事長、はたまた石破茂 国家戦略特区大臣のいずれかが新政権を樹立する。



順を追って説明する。

まず内閣支持率は、二十六日と二十七日のサミットにより「G7伊勢志摩経済イニシアティブ」を含む「G7伊勢志摩首脳宣言(三十一頁)」とオバマ大統領の広島訪問で上昇。国民の意識としては、安倍内閣への期待を諦めてはいない。

元大蔵・財務官僚で経済学者の高橋洋一が記事「消費増税延期は断固正しい!そのメリットをどこよりも分かりやすく解説しよう」で、消費増税の延期決定の正当性を経済学的に証明している。逆説的に、古巣の財務省(大臣及び財務官僚)を学術的に否定している。



前回、十七年振りに消費税を上げ、二年前に八㌫とした財務大臣の麻生副総理は、消費増税(十㌫)の延期に激昂している。先のサミットの前にG7の財務大臣が集まる会合で、予定通り増税すると世界に向けて宣言しているし、財務省の外部周辺や内部官僚らにも増税の前提で様々な約束を行っていた。

然し、安倍総理は「前回の消費増税で経済は失速した」と判断。前回の増税プランを作ったのは、財務省。今回の増税プランも財務省。およそ信じてなかった。





<何故にギリギリで延期を決定したのか>

 もっと早めに決めていれば、モメる事もない。ここからが経済学ではなく、政治学なのだ。数字的に合っている、間違っているで政治は動かせない。政治はヒトが動かす。現在の安倍内閣は、第三次改造だ。二十四年に総理に返り咲いた第二次より、守りの役割である財務大臣は、麻生が担当していた。財務省は、この国の財を振り分ける最上級の省だ(実質的)。


麻生と安倍の性格を鑑みれば分かる通りに、早々と安倍が延期を決めれば、麻生が黙っている訳がない。今回の様に安定内閣にヒビが入る。サミット前に、それは避けたかっただろうし、前回の衆院選で安倍は約束した手前、簡単に反故にできない。二十九日の横浜で麻生は、その約束を前に出した。



W選では公明が使えない

 次にW選となった場合に、公明の学会票が使えない。W選では、投票用紙が四枚になる。婦人部が主力の学会員は、高齢化している点もあり、これは自民党、これは公明党、これは自民の何々さん、これは公明の何々さん、と出来る可能性が低い。それに合わせて、先の野党四党が協力し四月の北海道五区の選挙で好成績を残した。参院選だけでも、盤石でないのに、衆院選ともなれば、守りきれない部分が出てくる。


学会票が生命線である事に変わりはない。新安保法制の強行で、学会票の一部が野党に投票する可能性も否定できない。事実、昨年の国会前デモでは、学会の三色旗が多数に振られた。学会員へのインタビュで証された。





<任期内で増税しない選択>

 安倍は考える。五輪まで長期政権を維持するには、どうしたら良いか。第一次退陣の際もそうであったが、健康上の問題が大きい。ハイムは手仕舞いを始めた、との可能性に言及する。現状では、日本経済は大きく上昇する見込みが薄い。この先にサミットを超える花がない。十一月には、次期米国大統領がトランプかクリントンに決まる。どちらにせよ胃が痛い。


最大の理由は、自民内部の問題だろう。サミット等が成功、支持率が上昇したにも関わらず、安倍を支える雰囲気ではない。それどころか、麻生をはじめ周囲が総理を狙う為に動き始めている様にも見える。いつでもそうであるが、日本は外からではなく、中から壊れされる。



大勝以外は責任追及の様相

 次の『参院選』で狙うは、自民・公明・維新の改憲勢力で三分の二。だが、野党共闘で現実味が落ちた。過半は獲れるだろうが、改憲勢力に遠のく。これを前提に消費増税であるなら、負け率が上がる。議席数がより減る。その場合の選挙後は、内部からの責任追及が止まらないだろう。ならば今、麻生らの反対を押し切って、改憲勢力を達成できれば、責任追及は起こらないと踏む。


ただ早くも麻生・谷垣は組んで、選挙の約束違反と訴えている以上、相当な勝ち率を獲らなければ、暗雲が立ち込める。過半数程度なら、責任追及が発生する。そこで自民内の最大派閥である宏池会が如何様な立ち位置を執るかだ。宏池会のトップは岸田なので、サミット成功に導いた立役者としての発言力がある。当然、今年のタイミングで安倍退陣となれば、総裁に立候補できるだろう。




安倍総理か、それとも別の総理か

 有力な次期総裁候補は、政治の実力的に動の麻生か静の岸田だ。麻生が返り咲くかどうかは全く不明だが、間違いなく岸田は狙っている。日本は大切な局面に入った。次の『参院選』の結果で安倍退陣となれば、新たな内閣が樹立される。野党共闘といえども、『参院選』だけでは政権交代にならない。W選でも今は望めない。


さすれば、誰が総理大臣に成るのであろうか。安倍内閣で日本国民が勝負するなら、大勝が条件だ。国民が大いに勝たせないといけない。然し、少ししか勝たない、ないし負けであれば、新内閣だ。そうなれば政治が、経済が、ビジネスが、生活が変わる。

国民の意志だけでは、経済学だけでは決まらず、政治家らの思惑で最後は、決まる。

そして総理の解散権は死んでない。


解説部写真:報道府提供

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