『安倍ディール(デジタル ニューディール)』が占う来年の景気、その中身|骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針」二〇二〇

【経済報道】 安倍内閣は、令和二年七月十七日に骨太の方針『経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇~危機の克服、そして新しい未来へ~』を経済財政諮問会議での答申を経て閣議決定した。簿記の知識を得て、今まで財務官僚が誤っていた貨幣の本質を「金属主義」から「表見主義」へ是正。七年度の国・地方の基礎的財政収支(PB)黒字化する目標を削除した。

自民総裁の四期再選がなければ、安倍晋三(甲午)首相としては、最後の骨太の方針となる。


財政健全化とはPBを黒字化する事ではなく、赤字化する事。PBが黒字であればある程、国民は貧しくなってきた。財政緊縮はデフレを推進してきた。国民が実感している事であろう。だが今回のコロナ禍により、未曽有の財政拡張を安倍内閣は実施。リーマン・ショック(平成二十年)を超える傷を浅くした。日本の財政の健全性は、税収が増え続ける事だ。健全に税収が増え続ける為には、国債発行が初手となる。よって健全時には、PBは赤字になり続けるもの。

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<世界恐慌から好景気に転じた日米>

 本年の骨太方針の主格は「デジタル(D)ニューディール」。世界恐慌時に昭和八年以降でフランクリン・ルーズベルト(壬午)元・米統領が行った経済政策が「ニューディール政策」。そのデジタル版となる。同時期の日本では高橋是清(甲寅)元・首相が行った経済政策に通ずる点も多々。当時、日本が世界恐慌から先に脱した。


米「ニューディール政策」では、公共事業を筆頭に労働者を大いに守る大規模雇用や最低賃金を取り決め、昭和十五年以降の米GDP続伸の契機をつくった。一方の日本の高橋元・首相は蔵相時代に活躍。恐慌期の五年間(六年~十一年)で国民所得が六十㌫も増加。しかも消費者物価は二十㌫未満の上昇だったので、当時の日本国民は世界恐慌期に豊かにさえなった。

これは事実である。


安倍内閣も昭和最初期の日米に倣い、同じ事(景気悪化における好景気化)を狙う。以下の四つが「Dニューディール」の柱。日本のデジタル化への集中投資をコロナ禍で、行う


  1. 次世代型行政サービスの強力な推進
  2. DXの推進
  3. 新しい働き方・暮らし方(少子化対策・女性活躍等)
  4. 変化を加速する為の制度・慣行の見直し (書面・押印・対面主義からの脱却等)



安倍ディールの具体策

骨太方針の冒頭には、以下の様に力強い意志を感じさせる一文。

単なる新技術の導入ではなく、制度や政策、組織の在り方等をそれに合わせて変革していく、言わば社会全体のDXが「新たな日常」の原動力となる。デジタル化の遅れや課題を徹底して検証・分析し、この一年を集中改革期間として、改革を強化・加速すると共に、関係府省庁の政策の実施状況、社会への実装状況を進捗管理する



一では、デジタル・ガバメント(D政府)を断行する。「政府全体で様々な行政手続のデジタル化を一気に実現する。」と鼻息が荒い。他にも「できることのみならず、必要なことを全て同計画に盛り込む。」と全部やる気だ。具体的には今一つな「マイナンバ制度」の抜本的改善、国と地方でバラバラなD基盤の加速的標準化、「府省庁」のデータ連携基盤の構築とオープンデータ(一般利用)化を挙げた。


二では、まったくDXが進まない中小企業を念頭に「Dガバナンス・コード」を年内に策定する。併せて、日本全国の全家庭等で高速ネット通信にアクセス可能な環境を作りたい(ブロードバンドのユニバーサル サービス化)。


三では、働き方改革(兼業副業推進、フリーランスへの政府保護等)、少子化対策・女性活躍(、女性の正規化の重点支援)、教育・医療等のオンライン化(リカレント教育を含む高校・大学の遠隔教育の単位上限ルール等の見直し等)と公務員制度改革(能力・実績主義の徹底)を挙げた。


四では、D時代に向けた規制改革の推進等。規制改革はモビリティ・フィンテック(金融)・建築の三分野が中心となる。「仮名加工情報制度」も創設したい。これは、イノベーションを促進する観点より、氏名削除等の“情報加工”で本人未同意でもデータ利活用を認める制度。企業内部でのデータ分析活用に限定される。但し、本制度は他とのデータ照合で特定個人を識別できるので、第三者提供は禁止(法令に基づく場合を除く)。



過ちは誰でも行うもの「愚者は過ちで殺し、賢者は過ちを生かす」

 以上が、安倍首相による最後の骨太の方針となりえる中核の「Dニューディール(安倍ディール)」となる。骨太の方針を以て、来年度の予算(当初予算)案を一府十一省二庁が考える。骨太の方針が予算の大本なのだ。三年度の国家予算として百二十兆円は超えて欲しいところ。


そして注目は、新規の国債発行額。吉と出る場合には、高橋元・首相とルーズベルト元・米統領が行った様に日本政府が圧倒的な投資を行う。凶と出れば、日本は恐慌期に入る。現場の報道機関の記者も含めて、簿記の知識(全ては貸借関係)・貨幣「表見主義」PB赤字こそ財政健全に正す事ができるか。


今まで誤った知識だった為、国民は貧しくなった(平成時代)。大人しく失敗を認め、正すだけで良い。後は心の問題。大人か、子どもか。


安倍首相は、同日の経済財政諮問会議・未来投資会議合同会議にて「国民の皆様と力を合わせ、この困難を乗り越え、未来を見据えて進んでいく。その為にも、この骨太方針を着実に実行して参ります。」と述べた。


記事:金剛正臣、写真:首相官邸、画像:「富国」を追った70年/nippon.com

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