子の学力較差は親の学歴・年収だけではなかった、最大の較差要因は?

【教育考察】 小学生は令和二年度より改訂『学習指導要領』の教科書で、中学生は三年度より、高校生は四年度より実施となる。十年に一度の定期的な改訂だ。安倍内閣はゆとり教育を終わらせた。漸く高度な世界戦で闘える教育を施す段階に入った。新たな学習指導要領のテーマは「生きる力」。サブは「学びの、その先へ」。


求められるのは、親の力である。


改定に当たり、文科相の諮問機関「中教審」で部会長を務めた千葉大・天笠茂(庚寅)特任教授は新たな学習指導要領を「所謂、専門家の一部に限られた人達だけではなく、保護者の方も地域の方もい一緒にご覧になって、そして子ども達の育てる方向を一緒に確認して頂きたい。一緒に学ぶ輪に加わって頂きたい。」と話す。


 ここに一本のレポートがある。平成十九年に書かれた中京大・松田茂樹(庚戌)教授の「親が勉強を教えている ―子どもの学力格差を生む親の意欲格差―」だ。松田教授は、内閣府の委員会にも加わっている。結論は、親の学歴・経済力よりも親の意欲が子どもの学力格差を生む。親の意欲>学歴・経済力となる。


特に父親が勉強を教え、母親が週三(小四~六)以上ないし週一(中学生)以上教える場合に顕著な違いが判明。平日・休日共に子どもの勉強時間が伸びる(上図)。父親の学歴では「大学・大学院」、年収別では「八百万円」以上で勉強時間が伸びる。当然、学力は勉強時間に比例するので、父親の意欲次第で子どもの頭の良さが変わる、という事実だ。



<母親と父親の力の必要性>

 上図は、自治体向けの教育機関「アルバ・エデュ(代表理事:竹内明日香)」が先の緊急事態宣言時に休校中の家庭学習を誰が関わったかの割合い。母親が七割強と圧倒的で、父親は一割。明日香 代表理事は、「このままの詰め込み教育の一方で、『家庭学習は母親の役割』という固定観念のままに家庭学習の負担が増えれば、女性にとって仕事との両立は持続可能ではない。子どもの宿題を見る負担が今まで以上に増える以上、長時間の仕事には及び腰になる。」と東洋経済オンライン(七月五日)に寄稿した。


経団連(会長:中西宏明)は、十四日に第一次提言『Society5.0に向けて求められる初等中等教育改革』を公表し、教員免許更新時にICTリテラシの確認も求める。現実はどうか。経済協力開発機構(OECD)の本年調査では、日本の「教師のデジタル教育スキル」は最下位の三十七位(上図)。兎角、教育委員会は邪魔をするが、彼らにICTリテラシがそもそもあるのかを確認して欲しいものだ。コロナ禍におけるオンライン・遠隔授業の導入状況を眺めると、教育委員会に現在の教育者の資格があるとは信じ難い。


経団連の提言は大事だ。文科省(大臣:萩生田光一)は子どもの育成に目を向けているが、経団連は採用を前提に今回の提言を発している。どちらも大事だが、雇う側の目線を蔑ろにできないだろう。


そして、コロナ禍は後二年続く恐れもある。詰まり、突然の休校に保護者は備えなければならない。現場の教員はOECDが示す様にICTリテラシが世界的に無いに等しい。学校は選べても教師は選べない。学校に上位である教育委員会もICTスキルが乏しいにも関わらず、学校運営に口を出す始末。


小学校の新・学習指導要領は始まっている。ならば家庭学習でフォローするしかない。何を。新・学習指導要領を、だ。誰がメインで子どもの家庭学習をみるのか、先のレポートの通り、十年前も今も母親だ。確実性を高めるには父親の参画も欠かせない。



母・父が教員レベルに成れれば子は安泰

 本題に入る。経団連が求める事は上図にある。これの中で初等中等教育の範囲を、母親主体で子どもに教えれる様にする。父親も積極的にフォローできる様にする。以下の三つを親が学ぶ。


  1. 素質;リーダシップ、失敗を恐れずに果敢に挑戦する姿勢、自己肯定感、忍耐力、他者と協働する力、新しいことを学び続ける力、変化を楽しむ力等
  2. 基礎学力;読解力を含む読み書き能力、計算・計数能力、基礎的な英語力等
  3. リテラシ;数理的推論・データ分析力、論理的文章表現力、外国語コミュニケーション力、ITスキル、プログラミング的思考、情報選択力・情報リテラシ、技術活用に関する倫理観等


母親も父親も子どもの勉強に参画しなくなったら、どうなるのかは松田教授のレポートが指し示している。


今どきの母親は就業もしている。父親が家事を的確にこなすとは限らない。父親は年収八百万円を切れない。自身の仕事に関し、リカレント教育も受けなければ職(収入)が途絶える。介護もしなければならない。老後も準備しなければならない。そして消費税増や緊急事態宣言等と、今後もシニアを優先し続けなければならない。


何故に、こんなに現在の母親は苦しいのか。


答えは一つ。政治に無関心・無興味だったからだ。政治を「誰かに任せてきたでしょう。」、自身の為に政治で「真剣に選挙運動をしてこなかったでしょう。」


母親にそんな力があるのか。ある。創価学会「婦人部」が日本の政治の方向性を決めている。今ではシニアだが、彼女達が子育て世代の頃に政治活動(選挙運動を含む)を頑張っていた。その影響力で今でも与党を決める。今の子育て世代は、彼女達に任せてきた。その結果が現状である。



政治に無関心・無興味だったツケ

 OECDの統計を視ても我が子を教員に委ねられるか。旧態依然の教育委員会に我が子を任せられるか。答えが否であるならば、年収八百万円を超え、父母共に新・学習指導要領を学び、更に状況が悪化しない様に、負担が減る様に政治活動をしながら、リカレント教育を定期的に受け、介護をし、老後の準備をする。何よりも、社会をシニア優先から子育て世代優先に変える。


休校要請も緊急事態宣言も、シニア世論によって決まった。

全ては子育て世代が、政治に無関心・無興味だったツケだ。


仕方がない。我が子の為に、日本史上で最大(最長時間)の苦労をするのか、政治参画して苦行を打破するのか。子どもが家族なら十八歳で成人しても、何十年も共に頑張っていく為に選ばなければならない。子育て世代にとって無投票は、更なる苦行に他ならない。


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