西村経財大臣の『経済演説』は熱い、何を本気で変えたいのか

【政経報道】 西村康稔(壬寅)経済財政政策 担当大臣は、令和三年一月十八日に第二〇四回・常会にて『経済演説』を行った。日本の経済現状と課題、本年の政策運営の基本的考え方について伝えた。西村大臣は熱かった。よって演説内容を大幅に記載する。



西村大臣は「(コロナ禍で)厳しい影響を受ける方々には協力金の拡充等、予備費の活用も含めた支援策を講じて参ります。」と約束した。併せて、昭和憲法下で初となる私権の制限を含む『新型インフルエンザ等 対策特別措置法』等の関連法改正について、早期に国会提出する。「国民の皆様の御理解、共感を頂ける様、適切な情報発信をしながら、感染対策に全力で取組みます。」と想いは熱い。



<経済財政運営の方針と来年度の経済見通し>

 昨年十二月の財政支出が四十兆円の「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を以て、コロナ禍で「雇用と生活をしっかりと守る事。同時に、成長分野への民間投資を呼込みながら民需主導の成長軌道の実現に繋げる事、という二つの視点の下、予算・規制・税制といったあらゆる政策手段を総動員し、防災・減災、国土強靱化の推進も盛込んだ総合的な対策としています。」と自信を見せる。


本対策により、来年度の経済成長率は実質GDPで四.〇㌫、名目で四.四㌫の回復を見込む。この水準はコロナ前に同じ。「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下で民需主導の成長軌道に戻したい。結果で財政健全化(財政均衡)に繋げる意志。西村大臣は直ぐに財政均衡ではなく、先ず経済成長ありきの後の財政均衡を主張している。


地方移住について、ニ十代の若者の地方移住の割合は四割。東京一極集中の是正チャンスと捉える。「二地域居住」「スマートシティの実現」「ワーケーション」で推したい。


DX政府への取組みは抜本的加速。「デジタル・ニューディール」を強力に推進し、民間企業の経営革新を促す。併せて「グリーン・ニューディール」も全力で後押す。



経済界へ苦言

 西村大臣の観察眼、想いの熱さの証左を示す発言もあった。「日本企業の組織の硬直性を打破する事が急務です。定期的にシリコンバレーを訪問してきていますが、あるベンチャ企業からは『日本企業はたくさん視察に来るが、いつも五十歳前後の男性ばかり。スーツ姿にネクタイだけ外して、毎回同じような質問ばかりして帰っていく。そして、その後、何の連絡もない』、『なぜ、日本企業には外国人、女性、若者がいないのか』。


この様に日本企業の多様性の低さについて、目が覚める様な指摘を受けました。今こそ、多様な人材の登用を促し、多様な発想で未来を切り拓く時です。コーポレート ガバナンス改革を推し進め、外国人や若者、女性の活躍の機会を増やす事により、企業の経営革新に繋げ、GAFAの様な世界を牽引する企業が日本からも創出される様な事業環境を作って参ります。大企業からベンチャ企業まで、産・学・官オープン・イノベーションの推進に取組みます。」と、平成バブル崩壊から続く日本経済の問題点を指摘した。

若者を含む若手・女性・外国人を積極起用できないバブル世代以上の硬直性である。


更に「何より重要なのは“人”への投資であります。一人ひとりの人材・能力を引き出し、新たな時代に適応したイノベーションを生む人材の育成に取組みます。」と子ども達向け、社会人向けの施策を矢継ぎ早に繰出し、「“人”への投資、正に『ヒューマン・ニューディール』を進めて参ります。」と言い放った。「就職氷河期世代の方々についても、お一人お一人に寄り添いながら、それぞれの事情に応じたきめ細かな支援を行って参ります。」とも述べた。



政府側はココが一番の問題

 『世代会計』の諸悪の根源となっている「社会保障 関係費」につき、「少子高齢化が急速に進む中、少しでも多くの方に“支えられる側”から“支える側”として活躍して頂ける様、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引継いでいく事が、我々の世代の責任です。」と述べた。菅義偉(戊子)内閣総理大臣も同日の『施政方針演説』で同様の事を述べた。


子どもとシニア間の『世代会計』の較差是正は前・安倍内閣が担った。菅内閣は平成時代以降、初めて若者・若手とシニア間の較差是正に取組む。


そして「デジタル、グリーン、ヒューマン、この三つの『ニューディール』に全力で取組み、民間の創意工夫、投資意欲を引出すと共に、多様な人材の能力・発想が花開く社会にしていきたい。コロナ禍の中、今は大変厳しい状況にありますが、その中だからこそ、未来への扉を開いていこうではありませんか。


三つのニューディールこそが未来の扉を開きます。そして、一人ひとりが扉の向こうに向けて新たな一歩を踏み出す、その勇気を全力で応援していきたいと思います。本年二〇二一年が、我が国経済・社会の大きな変革のラストチャンス、との気概を持って、日本が新たな、そして大きな一歩を踏み出す一年となる様、全力を尽くして参ります。国民の皆様、議員各位の御理解と御協力を宜しくお願い致します。」と言葉熱く結んだ。


記事:金剛正臣

写真:7府県知事から病床確保・財源で要請=西村再生相/ロイター

0コメント

  • 1000 / 1000