経産省の中小・零細が「危機を乗り越える四つの力」

【ビジネス報道】 経産省(大臣:梶山弘志)は、令和三年四月二十六日に動画『二〇二一年版 中小企業白書・小規模企業白書概要』を公開。両白書は二十三日に公表。同省は、以下の四点が危機を乗り越える力とした。


  1. 中小の財務基盤とコロナの影響を踏まえた経営戦略
  2. 事業継続力と競争力を高めるDX
  3. 事業承継を通じた企業の成長・発展とM&Aによる経営資源の有効活用
  4. 消費者の意識変化と零細の底力



情報把握

 一では、中小の自己資本比率は高まりつつある一方、損益分岐点比率が高いのでコロナ禍に対する売上高の急激な変化に弱いとする。併せて、先ずは自社の財務状況を把握する事の必要性を同省は訴える。財務指標に基づいた経営分析は、財務基盤を含む経営戦略の基礎。


特に財務状況も踏まえた上での、経営戦略立案を重要とした。ビジョンを明確にした経営計画を立て、日頃より事業環境の変化に合わせた見直しを行っていく。事業環境が複雑化する中では、自社のみならず外部の経営資源を活用する事も推奨した。


中小の成長には、海外進出による需要獲得や環境分野等の新たな需要の獲得を推す。中小においても環境分野への進出意欲は高いとし、コロナ禍において海外需要を獲得する為にはEC利用も有効。中小のEC利用意欲が大企業よりも高まっている。



 二では、コロナ禍によって中小のDX意識が高まり、働き方改革や効率化の取組みに加え、テレワークの推進等と事業継続力を強化する中小が多く存在している点を指摘。他方、DX推進に向けては、アナログな文化・価値観の定着といった組織的な課題や明確な目的・目標が定まっていない、といった事業方針上の課題を挙げた。


具体的には、DXへ積極的に取組む組織文化の醸成や業務プロセスの見直し等、中小自身の組織改革の必要性を訴える。その際には、経営者が積極的に関与。中小単体のDX方針を示し、全社的に推進すると、より大きな成果を生み出せる可能性を伝えた。



 三では、事業承継の機会を分析。令和二年の「廃業件数」は過去最多に上った。一方、その中には高い利益を生み出す中小も存在。こうした中小の経営資源を生かしていく事が重要と同省は認識している。事業承継後に販路開拓や経営理念の再構築等の新たな取組みにチャレンジする中小が多く、「新たな日常への対応」を含め、成長・発展を促していく為にも事業承継推進の重要性を確認している。


M&Aへのイメージは向上し、件数は増加した。売買双方が事業規模拡大を主な目的としている一方、売りて側は雇用維持を目的としている割合が最も高い。M&A実施後は多くのケースにおいて売り手側の従業員の雇用は維持。M&Aは売り手側にとってもメリットがある。


 四では、コロナ禍により消費者の意識・行動は変化し、地元消費やオンライン ショッピングの利用等が増加した点を伝える。零細の顧客との関係づくりもオンライン ツールを活用した取組みが増加した。こうした変化を転機と捉え、新たな需要を獲得する地域の零細も存在している。


日頃から地域との繋がりを大事にしている零細は、売上維持にも繋がっている。また、近年の動向としてSDGsの重要性の認識も広まりつつある。この取組みは持続可能な地域づくりにも関係しており、零細の持続的発展にとっても重要な取組みと捉えられている。


商工会・商工会議所の利用頻度は増加。コロナ禍により、両者の支援も重要であった点が示唆された。テイクアウト・デリバリの実施やEC導入支援等と事業環境の変化に合わせた支援も実施。零細からの期待は一層高まっている。


画像:概要/経済産業省

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