新経連が政府へ『税制改革』の提言、法人税は二十㌫へ等

【経済・ビジネス報道】 新経連(代表:三木谷浩史)は、令和三年五月十九日に政府へ『二〇二二年度 税制改革提言』を提出した。新しい社会を先取りする様な政治主導の税制改革が必須とした。



=法人税=

  1. 海外企業が日本の企業・ユーザから創造した価値に日本サイドが課税(イコール フッティング)
  2. 法人税の実効税率を二十㌫程度まで引下げ
  3. 「日本の税率を適用した場合の推計値」と「現実の課税額」の差額を把握する為、財務省が外国勢のタックス ギャップを試算して毎年公表


=消費税=

  1. 国外事業者に対する執行強化等


=特定同族会社への海外子会社からの配当金等に関する課税=

  1. 海外子会社からの配当金を「留保金額」に不算入等
  2. 中小企業が平成十九年度改正で対象外なので、「パススルー課税」のあり方も含めた検討が必要


=株式対価M&A=

  1. 金銭対価と混合で利用する場合の金銭割合の上限二十㌫を撤廃


=所得税・相続税=

  1. 現在五十五㌫の所得税の最高税率(地方税率含む)の見直し
  2. 相続税の引下げ等


=ビジネス=

  1. 退職金課税の見直し;長期に雇用された人に有利な「退職所得控除」や「二分の一課税ルール」は見直していくべき
  2. フリーランスや学び直しに対する制度の導入;「損失繰越制度」の拡充(三年から十年等)、前年に要した「資格取得費」等を就職後の給与所得から控除可に
  3. 所得税の「特定支出控除」又は「医療費控除」の対象化;テレワークの為のモニタ・PC関連の導入、「通信費」の増額分、テレワーク関連費、ベビーシッタ費、テレワークを行う場所における費用

併せて「租税特別措置」に関する提言も行った。


=オープン イノベーション税制=

  1. 本税制に「シード・アーリー期」の枠を創設
  2. 出資額の要件緩和(一千万円等)、所得控除の割合を増加(二十五㌫から百㌫等)


=スタートアップ向けインセンティブ報酬=

  1. 税制適格ストック オプションの行使期間を延長(例:十年から十五年)
  2. 最終的にはストック オプション税制について「行使時の課税を繰延べ」「譲渡時点で行使価格との差額を譲渡所得として申告分離課税の対象とする」等


=研究開発税制の見直し=

  1. 「繰越控除」制度の創設;控除限度超過額の五年間繰越し
  2. 「専ら」要件の撤廃
  3. 自社利用ソフトウェアの損金処理範囲の拡大;将来の収益獲得又は費用削減が不明確であれば損金算入
  4. 自社利用ソフトウェア、市場販売用ソフトウェアの区分の見直し
  5. 給付付き研究開発税制;創業後一定年数以内のスタートアップについて赤字決算の場合、「試験研究費」の控除割合(二㌫から十四㌫)分の給付を可能に
  6. 企業における保守的な税務実務の改革;慣行変更


=デジタル人材育成税制=

  1. SaaS費用について税制上の優遇措置(「人材確保等 促進税制」への組入れ等)


=教育投資税制 創設=

  1. 企業から大学への教育投資(リカレント社会人の受入れ費用やPBL共同開発費用等)を税額控除(赤字繰延特例も含め)
  2. 「人材確保等 促進税制」における上乗せ要件について、企業から大学への寄付講座や講師派遣に要した費用も対象に(現行は自社社員の教育訓練費が対象)


=AI税制 創設=

  1. AIラボ税制の創設;AI研究所等の設立時、試験研究費の税額控除率を拡大(通常十四㌫から五十㌫等)
  2. ベンチャや中小企業において、修士号又は博士号を取得したAI人材の給与(一定期間)の全額を税額控除(赤字繰延特例も含め)
  3. ベンチャや中小企業において、外国の若手人材をAI人材として教育する為に来日させる場合(高度人材を除く)、その給与(一定期間)の全額を税額控除、又は日本での生活支援


=暗号資産関連税制 創設=

  1. 暗号資産のデリバティブ取引を申告分離課税とし、損益通算・損失の繰越控除を可能に
  2. 暗号資産の現物取引についても同様の取扱いに
  3. 暗号資産の取引に係る所得を譲渡所得に
  4. 暗号資産間の交換を非課税化


=医療・物流・通信システム革新税制 創設=

  1. オンライン診療等の医療システム、物流の基幹システム、通信分野の革新的システム等への投資について取得価額の二百㌫分の減価償却
  2. 医療情報システム ベンダであって医療機関の指示ある場合に無償でのAIP開放等の積極的な情報開示をする者向けのインセンティブ措置を創設


=社会的投資減税=

  1. エンジェル税制に「社会的投資減税 特別枠」を創設;定款への記載や定期的な情報開示等の一定の要件を満たしたベンチャ企業への個人投資について、優遇措置を拡充(優遇措置Aの控除上限の緩和や優遇措置Bも所得控除にする等)


=コロナ禍を契機とした共助の為の税制=

  1. 「応援税制」創設 ;「CF」「ギフティング」事業者を認定し、その費用の一部を税額控除(赤字繰延特例を含め)。上記を活用して応援に参加した個人や事業者も税制優遇
  2. 寄附税制の対象となる寄付先について、公益法人等だけでなく災害支援を行う法人、コロナ患者を受け入れる医療機関等を広く対象とする等

画像:㈳新経済連盟

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