人に優しい資本主義に変える(岸田×安倍×麻生×甘利)|自民『新たな資本主義を創る議連』

【政経報道】 令和三年六月十一日に国会にて自民『新たな資本主義を創る議連(会長:岸田文雄)』の設立総会が開かれた。派閥を超えて百四十五人の国会議員が出席。本議連では「全ての人が成長を実感できる一体感ある国へ」向け、新自由主義に寄り過ぎていた現行の資本主義を変えるべく、勉強会を重ねていく。


社会全体の富の再配分を促す政策を以て『日本型資本主義』の復活を目論む。


設立趣旨には、「我々は新たな資本主義の形として『人的』資本を大切にする『人財資本主義』、更に多種多様な主体に寛容な『全員参加資本主義』を実現しなければならない。」と記す。近年の株主資本主義が適切な分配政策に欠如を起こし、人や社会を豊かにせず、寛容性を失っているという。較差拡大と冷たい社会の事だ。


本来は政府が個人や企業を支援し、増収した後に税収が増え、その財源を以て社会へ分配する。これが上手くいってない。


以下等で分配政策の強化を図りたい。

  1. 「企業利益」のより適切な分配
  2. 「大企業と中小企業間」の分配の適正化
  3. 企業内での「人的資本投資」の促進
  4. 「教育費や住宅費」負担軽減の為の支援
  5. 「子育て・家庭支援」の強化


更に設立趣旨では「いざという時に従業員や家族、地域社会を守る事ができる資本主義でなければならない。」と長期的視点に立った経営の必要性を説く。現在は株主への配当等を最優先しており、短期的視点である。この為に取締役会、従業員、家族と社会は疲弊してしまう。これを打破し、中間層の底上げを実現したい。


<人財・全員参加資本主義>

 昨秋に発刊の「岸田ビジョン/講談社」にも成長戦略を示した。「資本主義のあり方の見直し」「人材の重視」「集中から分散」「分断から協調」「技術の重視」。資本主義を見直すに当たって岸田会長(丁酉)は、『合本主義/渋沢栄一』の精神を挙げる。


合本(ガッポン)とは、数冊の本を一冊の本にしてしまう事。渋沢(庚子)はビジネスにおいて知識重視であった。合本主義は私益の為で終らず、公益の為に人材や資本を集めて事業を行う。


設立趣旨にある『人財・全員参加資本主義』と合本主義の違いを岸田会長へ問うと、「基本的な考え方は共通しています。カネとヒトで言うのならば、カネではなく、ヒトにより焦点を当てた資本主義の有り様について考える。これが基本的な考え方となります。」と答えた。


安倍晋三(甲午)前総理は、「ウォール街が世界を席巻した強欲を原動力とする資本主義ではなくて、道義を弁え、そして真の豊かさを知る日本らしい資本主義の有り方、そして世界のスダンダードと成り得る資本主義の有り方を皆さんに考えて頂きたい。」と日本型資本主義を期待した。


麻生太郎(庚辰)副総理は、「日本ていうのは、これだけ豊かになったのに、どうして“あくせくあくせく”してるんですかね。三代したら資産が無くなる。だから皆、資産が貯まらないんですよ。資本っていうのは、(本来)資産として残りますから。」と現行の税制の問題を指摘した。


 本議連の第一回は「渋沢栄一に学ぶ未来を拓く資本主義」。講師は渋沢の玄孫であるシブサワ・アンド・カンパニーの渋澤健(辛丑)代取。「シブサワ循環/経済学」の提唱者。新たな資本主義における以下の四つの課題提議を行った。


  1. インパクト投資の周回遅れ;現代的「論語と算盤」の実践。新しいお金の流れをつくる担い手を育む「官民連携エコシステム」の構築
  2. インパクト会計の制度設計への参画;ポストESG。企業の「見えない価値」の可視化
  3. 日銀のETF問題;日銀のBSでリスク資産が膨張。通貨(国の信用)の不信へと繋がるリスク
  4. 大学ファンド構想;「大学研究支援基金」


四は米「ペイアウト ルール」を参考にしている。フロー型からストック型への移行だ。グローバルな投資と流動性リスクの許容より「超過リターン」を目指す。その為に、新たな外部組織「大学研究支援基金」をつくるもの。財源は、日銀ETF残高を新基金に移管し、現物株式へ交換。配当は年五千億円と試算。長期的な運用利回りが五.三㌫以上ならば、新基金が維持・拡大する。これは政府・国民にとってリスクとならない点がポイント。


記事:金剛正臣

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