高校生への授業における法教育(実践)/法務省

【教育報道】 法務省(大臣:上川陽子)は、令和三年八月十七日にオンラインにて小中高の教員向け法教育セミナ『来年四月に迫った成年年齢引下げに向けて』を開催した(既報)。


来年四月より在学中に成年を迎える高校生に向けて、既に法教育を実践している福岡県立「福岡高」家庭科・藤野愛 教諭と「同校」地歴公民科・横内正太郎 教諭が分科会にて講演した。


愛教諭は家庭科にて消費者教育を実践。契約自由の原則やその例外、悪質商法、クーリングオフ制度、消費者信用(クレジットカード)、リボ払い、多重債務等を人生を左右する内容を教えている。



<法教育を受けた高校生の反応>

 授業「質問づくり」では成年年齢引下げや契約自由の原則等を取り扱い、高校生の視点を以下の様に変えた。


  • もうすぐ成人年齢に達するという自覚が持てる様になり、契約に対して慎重になった
  • 成人年齢を引下げる事のメリットとデメリットのどちらの視点も分かった
  • 消費者被害が起こる要因や未然に防止する方法、トラブルが起こってしまった時の対処法等、知る事ができた
  • 契約トラブルは一人で解決しなくて良い事が分かった



以下は授業で視点が変わらなかった高校生の意見。

  • 中学校で契約に関する事を充分に学習していたから
  • 既に知っている情報が多く、新しい視点を得られなかった
  • 他の人と自分の考えが同じで、同じ視点で交流しあった為



法教育の目的

 一方、横内教諭は「法教育の在り方と授業構成」と題した。以下を高校生に対する法教育の目標とした。

  1. 法制度の役割や意義、その背景にある考え方を踏まえ、ルールを尊重し、遵守する事の意味を理解させる
  2. 制度を理解するだけでなく、その制度の下でどの様な行動を取れば良いか、自ら考える事ができる様になる
  3. 自らの考え方に固執する事なく、相手の立場に立った公平なものの見方、考え方ができる様になる


授業構成中の「契約に関する基礎事項」としては、契約の成立から契約の内容(契約自由の原則)、契約の効力(契約の法的拘束力)を学び、「私法の基礎的な考え方を理解し、その意義を考えさせる事に重点を置く。」事とした。


以下は実際の授業より「契約でトラブルになった場合、どの様に行動すれば良いか」への高校生の反応。

  • 自分だけで判断せず、消費生活センタに連絡する等、専門家の協力や助言を貰う
  • 問題をそのままにする事無く、相談ができる相手に相談する。また、トラブルに関する証拠品(レシート、契約書等)を集めておく
  • 成年であっても分からない事は聞くべきだと思う。但し、巻き込まれた責任は自分にあるので、できる事は全て自分自身で行う様にする事が大切だと思う

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