二審は先生の“無償労働”を認めるか|ブラック学校!埼玉教員『超勤訴訟』

【教育報道】 令和四年三月十日に東京高裁(裁判長:矢尾渉)は、埼玉教員『超勤訴訟』の控訴審・第一回「口頭弁論」を行った。後に原告は記者会見を行った。小学校による『労基法』違反事件。


原告は、公立小学校の田中まさお(仮名)教諭。被告は埼玉県(知事:大野元裕)。時間外労働へ残業代が支払われておらず、これを違法(『労基法』)として、県に約二百四十二万円の「未払い賃金」等を求めている訴訟。被告・埼玉県は請求棄却を求めている。


一審判決では三十三時間弱の労働を“無償分”とした。



<小学校の反則OK>

 原告・田中教諭は会見にて学校の現場を「もう現代的強制労働ですよ。」と語気を強めた。一審判決で敗訴となったメカニズムを「埼玉大」教育学部・高橋哲(戊午)准教授は、サッカーとラーメン屋に例えた。


サッカーの試合で前半は、「時間外労働」を裁判所に認めさせる事に成功。然し後半では、反則がOKとなって逆転負け。この反則とは、「時間外労働」分を通常の「勤務時間」分の空き時間へ充当する技。民間では決してあり得ない算定方法だ。正に反則技と言える。

一審・さいたま地裁は「しらけ世代」石垣陽介(癸卯)裁判長。



ラーメン屋の例えでは以下等を列挙し、一審・さいたま地裁の判決を痛烈に批判した。

  • (お客さんが)ラーメンを食べたのを認め、金銭を払わなくて良いのと同じ論理ですね
  • ラーメンお願いします、と言ったけれども、オーダーはしていませんっていうのと同じ意味なんですね
  • ラーメンは食べられちゃったけれども、その間、沢山のお客さんがいましたよね、と。一人のラーメン一杯ぐらいタダになってしまっても、それ程、損害は少なくないですよね。だから、この分を(お客さんが)払わなくて良いんですよ



若い人達に引き継ぎたくない

 昨秋の一審判決時に「京都新聞」は、社説『教員の「残業」 警鐘を受け止め改善を』にて「小手先ではなく、教員の大幅増員や外部人材の活用といった抜本的な対策が欠かせない。」と主張。然しながら報道現在では本件に関し、小中の教諭達と保護者達の関心は未だ低いままだ。


田中教諭は「僕の世代で終わりにしよう。次の世代、若い人達に(無償労働を)引き継ぎたくない。」と述べた。当事者である「ゆとり世代」以上の教諭達と保護者達が、“我関せず”の他人事で通すならば、自身と自身の子ども・孫達が代償を払う事になる。例えば収入等の様に。


今後は一審判決につき、労働法学の専門家が「意見書」を二審へ提出する予定。尚、第一回「控訴審」の裁判資料は原告・被告共に特設サイトにて公開されている。


撮影記事:法学士・金剛正臣

※プライバシ保護の為、写真加工済み

0コメント

  • 1000 / 1000