経団連が副業・兼業容認へ、新市場誕生で人財の争奪戦に

【ビジネス考察】 平成二十九年十二月十八日に産経新聞が経団連の副業・兼業容認転換を報じた。当該記事によれば、経団連は政府の働き方改革推進の一環に足並みを揃える。三十年初めに方針を決定して企業会員一千社超へ示すという。但し、率先して扇動する訳ではない。経団連の企業会員には製造業等の上場企業がおり、日本のビジネス構造が大きく変わる事になる。


ハイムは以前より副業・兼業の準備を推してきた。経団連の方針転換は予想よりも早く、年始の方針決定をもって事実上の号砲となる。現在は禁止をしている副業・兼業の解除は各社が判断するので就職先毎に時期は異なるが、ビジネスマン単体は既に取り掛かるべきであろう。



理由は二つ。人財に関する新市場の勃興と較差拡大だ。

 副業・兼業の解禁をした上場企業はヘッドハンティング部隊(対外的な人事部)を早急に立ち上げるだろう。これまでは転職サイト等を通じ、取引先に配慮し、ダイレクトな勧誘は厳しかった。だが解禁企業は有能な人材を自社が直接に接触して勧誘をする事が可能となる。中抜きの新市場が生まれる事を意味する。直ぐには転職サイト等が退潮する事はないであろうが、本質的なビジネスモデルは大いに変わるだろう。


正社員のまま、競合他社との契約はできないであろうが、法的立ち位置が個人事業主として副業・兼業に就く可能性がある。弁護士や税理士で脇を固める必要がある。そして何よりも自身の市場価値を高める努力が欠かせない。職歴や経験値、資格取得やリカレント教育、ツテ・コネ等も価値向上のポイントとなるであろう。正に人材から人財に変わる時代である。



公開される自身の市場価値

 もう一つの理由である較差拡大は決定的なものとなる。上場企業全社が解禁する日は不明だが、解禁が過半数を超える頃にビジネスマンの較差が拡大し始める。類似事象として、派遣社員の位がある。二十四年に改正『労働者派遣法』が成立し、製造業へも派遣が可能となり、殆どの業種での派遣が可能となった。それから五年が経ち、派遣社員の経歴には明確な較差が現れた。上位と下位では仕事の質と賃金に決定的な溝が生まれ、今後、下位の者は上昇の見込みが手厳しい。


同じ様に新市場が立ち上がれば、最初期の五年間で少なくとも同世代の上下は決す。現在の中途採用に同じミスマッチングが発生するのだ。上場企業群が求める能力は年々、上がっていく事が予想される。それに付いていけるか否か。最初期は年単位の契約が考えられるので、年単位で同世代のライバルを意識する必要がある。次の五年で前後十年程度がライバルに含まれ、その次の五年から十年で全世代がライバルとなるであろう。


高所得の正社員は危機感を抱かなければならない。副業・兼業解禁から最初期の五年間で先ず上下が決す。中位は下位と見做される。そして全世代のビジネスマンと切磋琢磨する時代に入る。競合他社禁止の原則より異業種キャリアが物を言う。ライバルは同業ではない。今後の日本のビジネスにおいて、最も重要な要素はパーソナル ブランディングとなる。ビジネスマンの市場価値が直に公開される事に備える。狙うはAランク以上。


記事:金剛正臣

0コメント

  • 1000 / 1000