責任感ある社会へ =園児置き去り事件=

【日本論説】 令和四年九月七日に静岡・牧之原の認定こども園「川崎幼稚園」が、三歳の園児を送迎バスに置き去りし、重度の熱中症で死亡した事件について記者会見を行った。園長及び副園長に対するコメントには、その態度等から「無責任」等の言葉が並んだ。


五日の登園時に事件が発生。当日の牧之原市は最高気温が三十.五度の真夏日。バスに乗車していた園児は六名。運転手は園長、派遣の補助職員も同乗。共に七十代。園児の人数確認のタイミングは四回あった。


両名はバス内の点検と出席確認を行わず、五名の園児を下ろして施錠。この時、死亡した園児は後方座席にいたという。五時間後に帰りの準備の為、他の職員がバスの鍵を開け、座席前方(三列目)付近で通路側に頭を向けて倒れていた園児を発見した。



<保身が垣間見える>

 真夏日にバスに閉じ込められた園児の体温は、正午付近で四十度にも上がったと推測。バスの乗降口には暑さを凌(シノ)ぐ為に脱いだとみられる園児の服が。水筒も空だった。三歳の園児は灼熱のバスの中で窓を開けようとしただろう。出口を探そうとしただろう。母へ助けも呼んだだろう。だが、バスが停められた駐車場は二百㍍以上、離れていた。


熱中症の初期は目眩(メマイ)と体温上昇。体温が四十度を超え、脱水状態。意識混濁・異常言動・全身痙攣(ケイレン)等に悪化。そして昏睡状態から臓器不全を起こし、死に至る。


園児は、必死に生きようと三歳なりに藻掻き苦しみながら、独り息絶えた。



会見で男性の園長は「本当に苦しい思いをさせて申し訳なかったな、と今は感じています。そして暑い中、よくあんな中で居て本当に可哀そうだった、と感じています。」と。五十代・女性の副園長は「一番最後に乗るお子さんで、乗せたっていう所でチェックをし忘れたのかなって、チェックミスがありました。」等と釈明した。


報道陣から両名のマスクを外すように伝えた所、水分不足と年齢により拒否。会見の終了間際に再び、マスクを外す事を伝えた所、弁護士が遮(サエギ)り、コロナ感染を理由に拒否。顔を晒したくなかったものとみられる。


根本的な打開策は一つしかない

 この会見に違和感を覚えた者は多い。報道各社がYTにてライブ配信し、コメント欄に園長と副園長を疑問視する声が相次いだ。原因究明は静岡県警に委ねられている。刑法第二百十条「業務上過失致死」容疑。


会見から総じて言える事は、責任感・危機感の欠如。相応に対策を施していたと園は主張していたが、気の緩みが原因と言わざるを得ない。昨年にも福岡にて保育園の送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した五歳児の園児がいた。この悲劇を繰り返してしまった。打開策は一つしかない。日本全体で責任感ある社会に戻す事


「日本のZ世代意識調査:SNSのイメージや消費感度編(下部参照)」では、「他人に興味が無い」が前世代よりも伸びた。この世代が保育教諭・幼稚園教諭や医師・看護師になった際に不安は無いだろうか?今回の担当の教諭は、園児が一人居ないのに何故、無頓着だったのか?


法的な理由より、警察等は事後でないと動けない。事前に悲劇を防ぐ方法は、日本社会の一人ひとりが真摯に他人に向き合い、責任を負う事だ。さもなくば責任を擦(ナス)り付け合い、保身に走る。大人達の無責任・保身で被害に遭うのは、自身で守る事ができない子どもである。

幼稚な大人達が子ども達の命を奪う。


少子化の日本社会において、大人達が責任から逃げたり、他人に興味が無かったり、自己正当化で保身に走り続ければ、子ども達の命は自殺を含め、ただ、ただ奪われていく。日本に思い遣りを。


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