【政治・ビジネス報道】　岸田総理（丁酉）は、令和四年十月四日に総理大臣官邸にて第十回『新しい資本主義実現会議』を開催。「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の実施についての総合経済対策の重点事項を取り纏めた。

岸田総理は、フリーランスの取引適正化の為の法案を今国会（二一〇臨時会）へ提出する事を伝え、「スタートアップの起業加速です。起業を志す若手人材を五年間で一千人規模で、シリコンバレーや東海岸に派遣致します。スタートアップの振興の為、ＳＢＩＲ制度（中小企業　技術革新制度）を抜本拡充すると共に、一定期間、経営者の個人保証を不要にする金融支援を創設致します。」と述べた。

以下が総合経済対策の重点事項。

1.  人への投資と分配（労働移動円滑化、リスキリング、構造的な賃金引上げ）
2. スタートアップの起業加速及びオープンイノベの推進
   
3. 科学技術イノベ投資；量子・ＡＩ技術の開発拠点の整備等
   
4. 資産所得の倍増；ＮＩＳＡ・ｉＤｅＣｏ等
5. 経済社会の多極集中化；「Ｄ構想」
   
6. ＧＸ・ＤＸ投資 
   
7. 社会的課題を解決する「経済社会システム」の構築；民間で、公的役割を担う新たな法人形態・既存の法人形態の改革の検討
   
8. 経済安保・サプライチェーン強靭化・個別分野の取組み；宇宙・海洋等
   

＜転職・リスキリング・副業・職能給＞

　一では、「労働移動の円滑化」と「人への投資」がポイント。以下は前者。

• キャリアアップ転職；一気通貫支援（専門家相談～転職）
• リスキリング（生活保障やセーフティネットを含む）；来年六月までに「労働移動円滑化の為の指針」を策定
• 支援；「労働移動を受け入れる企業」と「副業に人材を送り出す企業・副業の人材を受け入れる企業」
• 公表；副業を認めている企業
• 助成；新たに「職務給の導入」を行う中小企業

以下は後者。

• 人への投資策；一兆円／五年（現在四千億円規模／三年）
• デジタル人材の育成強化；令和八年までに三百三十万人へ拡大
• 「サバティカル休暇」の導入促進；任意の在職期間に達した従業員へ、長期休暇を付与する制度
• 私立大学等へ補助；新設学部の準備・整備費や開設後五年程度の運営経費
• 若者・若手研究者；開発支援を初期の失敗を許容し、より長期に成果を求める方向に改善・強化。若手研究者の参画を要件とした「国際共同研究支援」につき、若手研究者への支援を強化した上で支援

スタートアップ

　二では、十倍増／五年を視野に「五ヶ年計画」を本年末に策定。スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築は、以下の通り。

1. 未踏事業の拡大（「情報処理　推進機構」）
2. 海外における起業家育成の拠点創設（「出島」事業）；派遣規模を一千人規模／五年。日本のビジネス拠点を新設
   
3. 米国大学の日本への誘致等を含む、アントレプレナシップ教育の強化検討 
   
4. 一大学一ＩＰＯ運動
   
5. 大学等でのスタートアップ創出に向けた支援策強化；小中高生を対象に、起業家が講師の「起業家教育の支援プログラム」を新設
   
6. グローバル　スタートアップ　キャンパス構想
   
7. フリーランスの取引適正化法制の整備
   

以下が、スタートアップの事業成長の為の資金供給の強化と事業展開・出口戦略の多様化。

1. 「中小機構」のＶＣへの有限責任　投資機能の強化
   
2. 「産業革新　投資機構」の出資機能の強化
   
3. 研究開発型スタートアップへの支援策強化（「ＮＥＤＯ」）
   
4. 創薬ベンチャへの支援強化（「日本医療研究　開発機構」）
   
5. スタートアップへの投資を促す為の「税制」；本年末「来年度税制改正」において結論
   
6. 「ストックオプション」の環境整備；同上
   
7. 「ＳＢＩＲ（Small Business Innovation Research）制度」の抜本拡充
   
8. 経営者の個人保証を不要にする等の制度の見直し；スタートアップ創業から五年以内につき、個人保証を徴求しない新しい信用保証制度を創設。信用保証協会への損失補償として必要経費を措置。「日本公庫」がＣＦ不足のスタートアップや中小企業に対する資本性ローンの継続を図る。日本公庫への出資追加等を行う
9. 「ＳＰＡＣ（特別買収目的会社）」の検討
   
10. 「未上場株のセカンダリマーケット」の整備
    
11. 海外進出を促す為の環境整備（出国税等に関する税制上の措置）；自身のスタートアップの株券を担保として提供しなくとも、会社保証で出国可である事を確認・周知

写真：総理大臣官邸