【政治・教育報道】 岸田内閣は、令和四年十月十一日に自殺対策の指針として新たな『自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~』を閣議決定。本年版の「自殺対策白書」も同日に閣議決定した。
報道府はコロナ禍当初より、子ども・若者の自殺増に警鐘を鳴らし、対策を政府へ訴えていた。日本政府及び日本世論(主に母親)として、平成時代より子ども・若者の自殺について積極的な議論を進めていなかったが、岸田内閣において初めて本腰を入れる可能性がある。日本の自殺死亡率は、先進国で最悪。
小池百合子(壬辰)都知事による度重なる緊急事態宣言の要請により、コロナ禍前の五年間(平成二十七年~同二十九年)の平均自殺者数と比べ、「二十歳未満」は二十九㌫の増、「二十代」も十七㌫の増となった。「三十歳以上」の年齢区分では全て減少。
「女性」は二年連続の増、「小中高生」は過去最多の自殺水準。
<今まで子ども・若者の命は軽んじられてきた>
五年を目途に見直す本大綱の新たなポイントは、以下四点。
- 子ども・若者の自殺対策の更なる推進・強化
- 女性に対する支援の強化
- 地域自殺対策の取組み強化
- コロナ禍拡大の影響を踏まえた対策の推進等、総合的な自殺対策の更なる推進・強化
一が最重要だ。本大綱でも最も力点を置いた。これは岸田内閣の快挙である。前大綱にて子ども・若者の自殺対策は、重点政策で十一番目。本大綱でもナンバリングは変わらないが、具体な施策より最重要視している事が伺える。
前々大綱のポイントでは、子ども・若者の文字すら未記載。日本政府と日本世論は、子ども・若者の自殺を大いに軽んじてきた。以下がポイント。
- 自殺等の事案について「詳細な調査・分析」を進め、自殺を防止する方策を検討
- 子どもの自殺危機に対応していくチームとして学校・地域の支援者等が連携し、自殺対策に当たる事ができる「仕組み」等の構築
- 命の大切さ・尊さ、SOSの出し方、精神疾患への正しい理解や適切な対応等を含めた教育の推進
- 学校の長期休業時の自殺予防強化、タブレットの活用等による「自殺リスクの把握」や「プッシュ型支援情報」の発信
- 明年四月に設立予定の「こども家庭庁」と連携し、子ども・若者の自殺対策を推進する体制を整備
厚労官僚が怒涛の重点政策
自殺の現状と自殺総合対策における基本認識として、新たにコロナ禍の影響を踏まえた。「自殺への影響について情報収集・分析」、「ICT活用の推進」と「女性・無業者・非正規・独り親・フリーランス・児童生徒への影響」も踏まえた対策を講ず。
自殺総合対策の基本方針には、新たに「自殺者等の名誉及び生活の平穏への配慮」を組み込んだ。併せて当面の重点施策として、初めて「女性の自殺対策」を組み込んだ。
以下が、子ども・若者、女性に関する重点施策。厚労官僚が的確に纏め上げた。
- 児童生徒の「自殺対策に資する教育」の実施
- 子ども・若者及び女性等の「自殺調査」、「死因究明制度」との連動;予防の為の子どもの死亡検証(CDR;Child Death Review)の推進
- 「コロナ禍における自殺」等の調査
- 「ゲートキーパー」の養成(若者を含む)
- 職場における「メンタルヘルス対策」の推進
- 子どもに対する「精神保健 医療福祉サービス」の提供体制の整備
- ネット上の「誹謗中傷」及び自殺関連情報対策の強化
- 「学校・職場」等での事後対応の促進
- 「遺児」等への支援;ヤングケアラとなっている遺児の支援強化
- 「イジメ」を苦にした子どもの自殺の予防
- 「学生・生徒」への支援充実;長期休業の前後の時期における自殺予防を推進、不登校の子どもへの支援について学校内外における居場所等の確保等
- 「SOSの出し方に関する教育」の推進
- 「子ども・若者への支援」や若者の特性に応じた支援の充実
- 「知人」等への支援
- 「子ども・若者の自殺対策を推進する為の体制」整備
- 「長時間労働」の是正
- 「ハラスメント」防止対策
- 「妊産婦」への支援の充実
- コロナ禍で顕在化した課題を踏まえた「女性」支援
- 「困難な問題を抱える女性」への支援
取材現場で見てきた事実は、母親達がまるで子どもの自殺を無視している点だ。母親となり得る若き女性達も“我関せず”の放置状態であった。予備軍の特に母親の政党を名乗る「公明党(代表:山口那津男)」は、略無力だった。
子どもは母親が好きだ。併し、その母親が子どもの命に無興味であったからこそ、「小中高生」の自殺水準が過去最多となってしまった。女性達こそが、真摯に“子どもの自殺”を議論してもらいたい。子ども達が、自殺を決断しなければならなかった心を知って欲しい。
岸田内閣へ期待を込め、感謝したい。
記事:金剛正臣
スライド:自殺総合対策大綱の概要・ポイント/厚生労働省
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