子どもの自殺は「イジメ」よりも「家族」が原因!小学校で心のスキル学習|メンタルヘルス予防教育プログラム

【教育報道】 令和四年十月二十八日にオンラインにて国立研究開発法人「科学技術振興機構」の社会技術研究開発センター(RISTEX、センター長:小林傳司)は、『研究開発プロジェクト メディア説明会』を実施した。

二度に分けて報じる。


同センタでは、自然科学及び人文・社会科学の知識を活用した研究開発等に取組んでいる。「同志社大」心理学部・石川信一(己未)教授が、「メンタルヘルス予防教育プログラム/幼児から青少年までのレジリエンス向上を目指したプログラムと人材育成体制づくり」を実施している(報道現在)。


既に日本全国・七十三校にてプログラムを導入。市町村とも連携開始。小学生向けのプログラムでは「自己効力感」の向上が実証済み。


このプログラムは学校にて“心の不調”を予防する為に、様々なスキルを系統的に学ぶ時間を設けるもの。以下が狙い。

  1. 自分自身や皆の力で、困難を乗り越える方法を知る
  2. 自分自身や友人の為に、使えるスキルを身に付ける
  3. 精神的な症状に対する偏見を解消する

<全国で五十一万件以上/年のイジメが発生、小学校「低学年」が最多>

 小中高、及び特別支援学校における「イジメの認知件数」は、五十一万七千百六十三件(前年度比=十五.六㌫の減)。児童生徒・一千人当たりの認知件数は、三十九.七件。


小中高と比較し、小学校におけるイジメが圧倒的に多く、中でも低学年における発生率が高くなっている。全て「いじめの現状について(十一月)/文科省」より。



自殺した小中高生=四百十五人で過去最多

 令和二年度において、小中高から報告があった「自殺した児童生徒数」は四百十五人(前年度=三百十七人)。調査開始以降で最多となってしまった。「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要/同省」より。


原因が分かっている範囲で「家庭不和」が五十三人で最多。次いで「精神障害」が四十六人。自殺した児童生徒の内、「イジメ」に因るものは小学=一人・中学=五人・高校=六人の計十二人。


児童生徒の自殺は、家庭不和>イジメとなっている。友人よりも家族が自殺原因だ。「R2児童生徒の自殺が後を絶たず、大幅に増加している事は、極めて憂慮すべき状況である。」と警鐘を鳴らす。



“こころの問題”で二兆円の経済損失

 現代社会が早急に解決すべき課題は、メンタルヘルスの増進。「こころの健康づくり」。成人期の心理的問題の半数は、児童期に始まっている事が明らかになっている。


心理的問題が生じると、当人だけでなく周りのサポートも必要となり、約二兆円の損失(社会経済的損失)を齎す事も明らかに(学校法人慶応義塾、二〇一一)。


その為、「問題が浮かび上がってから」の事後対応ではなく、「問題が生じる前の対応(事前対応)」が欠かせない。詰まり、小学校での早期の予防的観点が必要不可欠とした。


依って、石川教授の「メンタルヘルス予防教育プログラム」を以って、児童生徒が現代社会の抱える問題を切り抜ける適切な知識と技術を授業で身に付け、心理的レジリエンス(回復力、弾力性)を備えた市民の育成を行い、“こころの危機”を自力で乗り越えられると知って貰う。


次回、詳報。



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