『vs中共軍』日本の国防の現況|財政審

【財政・軍事報道】 令和四年十月二十八日に財政審/財務省は、「財政制度分科会」を開催。有識者ヒアリングと日本防衛について話し合った。


河野克俊(甲午)前・統合幕僚⻑は、⽇本の安保環境と防衛⼒整備の⽅向につき、以下三点を議論。

  1. ⽶中対⽴と⽇本の戦略環境;中国の経済成⻑と海洋進出、中国の海軍戦略、⽶中対⽴の舞台は太平洋、⽇本は⽶中対⽴の最前線
  2. 我が国の第⼀防衛線としての海洋
  3. 今後重視すべき防衛⼒;攻撃⼒・反撃⼒の強化、弾薬・ミサイル等の継戦能⼒向上、整備・修理態勢強化による可動率向上、研究開発の強化・迅速化、「宙情電」等新領域の戦闘能⼒の強化、施設等の抗耐性の強化


統幕長は自衛官の最高位者。階級は陸将・海将・空将。米軍のカウンタパートは米「統合参謀本部議長(統領補佐)」と「インド・太平洋軍司令官(作戦指揮)」。二重の役割を統幕長が担っていたので、令和六年度に陸海空軍を担う「統合司令部」と作戦指揮の「統合司令官」を新設し、統幕長は首相補佐に徹する見込み。


<日本の防衛政策の課題>

 国際政治学者の「慶⼤」神保謙(甲寅)教授は、以下七点を「日本の防衛政策の課題」とした。

  1. 日本を取り巻く安保環境
  2. 統合防衛力の充実化
  3. 先端技術の軍事分野での応用と研究開発
  4. 日米同盟:A2・AD(接近阻止・領域拒否)環境下での米軍前方展開・「日米共同作戦」強化
  5. インド太平洋におけるパートナ国との安保協力拡充
  6. 防衛技術基盤の拡充・国際共同研究・装備移転
  7. 防衛費の基盤整備



一では、⽇本の「法執⾏能⼒」の強化、「防衛⼒」の拡充、⽇⽶同盟での共同対処をシームレスに可能とする「実効的な防衛態勢」の構築を訴えた。「領域横断 作戦能⼒(陸海空、及び宙情電とロボ)」を前提とした防衛態勢の整備を必要とした。


従来の前提である⽶軍の圧倒的な優位が崩れている為、⽶軍の「前⽅展開・戦域内作戦アクセス」の確保を焦点とした。



日本ロボvs中共ロボ「戦場のシンギュラリティ」

 二では、陸海空×宙情電の「多次元統合防衛⼒/防衛計画大綱」につき、安保環境の変化に応じ、優先順位・資源配分・運⽤態勢を不断に再構成する必要性を訴えた。



三では、防衛先端技術「無⼈化システム」「ロボティクス」「極超⾳速システム」「⾼出⼒エネルギ」「量⼦技術」等の進展が、従来の国防概念・作戦概念を⼤きく変⾰する可能性に言及。⾃律的な軍事⾏動やロボ同⼠の戦闘さえ展開されるかもしれないという「戦場のシンギュラリティ(特異点)」だ。


日本の「排他的経済⽔域(EEZ)」は、国土面積の十二倍で、世界八位。少⼦⾼齢化による⾃衛隊員の確保が厳しい中、「無⼈化システム」と「ロボ」の導⼊は積極的に検討すべき、とした。


併せて、「技術と防衛政策・作戦構想の融合化」として国家安保局・防衛省・外務省・防衛装備庁・国内シンクタンク・企業での戦略・戦術・研究開発等における本格的な検討を必要とした。




<フィリピン筆頭の同志国連携>

 四では、⽇⽶同盟の最⼤の課題は、中共軍によるA2・AD環境の拡⼤。⽇⽶同盟の基本的⽅針は、⽶軍の前⽅展開の確保。⽶海軍・米空軍の最新鋭の攻撃アセットを展開し、⽶海兵隊が即応展開できる態勢を維持する必要性や「スタンドオフ攻撃」を可能にする追加アセット(⻑射程対艦・対地ミサイル)配備検討の積極化等を訴えた。

写真は比軍の女性兵士。



五では、同地域のパートナ国(同志国)の連携を、⽬的別・問題領域別に整理して推進するべき、と以下の六類型に分けた。


  1. ⽶国の「地域プレゼンス」を⽀える連携;韓・豪・比・シンガポール
  2. 海洋安保秩序を⽀える連携;上記+印・ASEAN海域諸国
  3. 朝鮮半島の⾮核化・不拡散・不安定化に対する連携;⽶・中・韓・露
  4. 海上安保の能⼒構築⽀援;比・越を中⼼とする海域諸国
  5. 「拡大ASEAN国防相会議」を中⼼とするHA・DR(人道支援・災害救援)共同訓練の拡充
  6. IP全域で⾃衛隊が活動できる法的整備訪問軍協定)の拡充


教授は、「特にフィリピンとの関係強化は重要となる。」と念押し。報道府も比国が、軍事的パートナとして米英並みに重大である点は幾度も伝えている。⽇―台―比を繋ぐ戦略的要衝(対「第一列島戦/中共軍」)。報道現在で、⽶⽐「防衛強化協定」が結ばれている。


また、比越を中⼼とした東南アジア諸国の戦略インフラ(空港・港湾・道路)を整備し、海上警備能⼒や警戒監視能⼒を⽀援する必要性も訴えた。外務省や経産省等の共同戦略。



求められる財政基盤

 六では、「防衛技術基盤の強化・技術イノベを加速する仕組み構築」と「防衛装備移転の成功例」の二点。前者では、防衛装備庁の体制強化(R&D投資の増)、国内企業・⼤学との連携強化、「国際共同研究体制」の強化を挙げた。


後者では、「防衛装備移転三原則(平成二十六年)」に基づく共同開発はゼロ件で、国産完成品の輸出は失敗続きである点を指摘。主たる原因をコスト⾼・カスタマイズ能⼒・ロビー⼒の⽋如とし、産官協⼒で成功例を重ねる必要性を訴えた。



最後の七では、「防衛⼒の抜本的強化に向けた財政基盤」と「財政基盤整備と最適化への努⼒」の二点。前者では、⽇本の防衛構想への適合を前提に、今後の技術⾰新のタイムラインに沿ったR&D投資と防衛産業・技術基盤の確保等を挙げた。


後者では、戦略的な防衛⼒整備の為の⾃衛隊の組織改編、装備体系の最適化、安保上の優先度を踏まえたR&Dの重点化等を挙げた。


国防に於ける財政基盤の安定性は、増税ではなく、『財政法』四条の改正による国債発行で賄うべきだろう。日本は自国の軍備を増強する際に、明治・大正・昭和と国債発行で賄ってきた。


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