三十代~六十代への調査『高校の金融教育に望むもの』

【金融・教育報道】 令和五年二月三日にオンライン株式スクール「株の学校ドットコム」を運営するトレジャープロモート(代取:瀬川丈)は、三十代~六十代の男女八百人へのアンケート調査『高校の金融教育に望むもの』を発表した。一月調査。


今の高校生への金融教育では「資産形成」よりも、「騙されない」「失敗しない」為の教育を望むものの、自身が高校生の時に「資産形成」を教えて欲しかった、という親世代の複雑な心境が透けて見えてきた。


依って、今の高校生に必要な金融教育は「年金・健康保険・税金・税制」が最多となった。本年度より、高校の家庭科で「資産形成」が必修化されている。家計(収入・支出)や消費に加え、金融商品(預貯金や保険、株式、債券、投資信託等)を成人までに学ぶ。




<子どもに必要な金融教育は?>

 同社は、本年度に高校で実際に金融教育の授業を担当した教員へインタビューを実施。以下が回答の一部。


  • いきなり投資を始める子が出てくるのではないかと心配。これまで以上に家計管理の教育が重要だと感じている
  • 個人的には、投資よりも計画的に貯蓄する方が先だと考えている。それをどう伝えれば良いか悩んでいる


以下は、高校時代に学びたかった金融教育の上位。複数回答。

  1. 「年金・健康保険・税金・税制」=四十六.九㌫
  2. 「資産の運用方法(株式・投資信託等)」=四十.〇㌫
  3. 「家計管理・生活収支・貯金」=三十七.〇㌫


以下は、今の高校生に必要な金融教育の上位。

  1. 「年金・健康保険・税金・税制」=四十九.四㌫
  2. 「クレカ・デビットカード・リボ払い」=四十.四㌫
  3. 「家計管理・生活収支・貯金」、「借金(奨学金・住宅ローン・消費者金融等)」=三十七.九㌫



乖離のプラスマイナス

 内、「自身が高校時代に受けたかった」と「今の高校生に必要と思う」で乖離が大きかった(=自身の高校時代に学びたかったとは余り思わないが、今の高校生には必要だと思っている)のは、以下の四項目。

  1.  「借金(奨学金・住宅ローン・消費者金融等)」=十八.五㌫
  2. 「悪徳商法・投資詐欺」=十六.五㌫
  3. 「クレカ・デビットカード・リボ払い」=十五.一㌫
  4. 「契約・クーリングオフ」=十三.三㌫


対して、「自身が高校時代に受けたかった」よりも「今の高校生に必要と思う」で乖離がマイナスとなった(=自身は高校時代に学びたかったが、今の高校生には余り必要ない)のは、以下の五項目。

  1.  「資産の運用方法(株式・投資信託等)」、「利回り・福利」=▲三.六㌫
  2. 簿記・会計・財務諸表」=▲三.五㌫
  3. 「保険(生命保険・火災保険)」=▲二.四㌫
  4. 「資産運用の必要性」=▲〇.七㌫

収入>費用

 教員がインタビュに答えた通り、「家計管理・生活収支・貯金」なくば、資産構築はできません。実際には「簿記・会計・財務諸表」が最重要です。しかしながら、「年金・健康保険・税金・税制」という実質、費用(支出)に目が行っている事が分かります。


確かに費用の把握は大切ですが、「簿記・会計・財務諸表」を学んでいる三十代~六十代が少ない為に、費用へ目が行っているのでしょう。毎月、費用を支払う為には収入が欠かせません。これは「損益計算書(PL)/財務諸表」の知識があれば、収入の重要性が分かる筈です。


金融教育において最も押さえておくべきは、「損益計算書(PL)」と「貸借対照表(BS)」に他なりません。この二つの財務諸表を押さえてないと、『収入−費用=利益・損失』、『資産−負債=資本』の数値を弾き出せませんし、具体策も不明となります。


今回の三十代~六十代は、「簿記・会計・財務諸表」を軽んじている調査結果となりました。故に、安定的な資産運用を望めないでしょう



収入増への注力

 「借金(奨学金・住宅ローン・消費者金融等)」と「クレカ・デビットカード・リボ払い」は、負債と費用(利子)です。負債を減らす(返済)方法は、返済原資となる「利益(所得)」を大きくする事です。利益を大きくする方法は、収入を増やし、費用を減らす事です。


費用を減らすには限界がありますので、通常は収入を増やす事に注力します。そもそも負債は、年間利益と自己資産より許容額を計算します。この計算に「簿記・会計・財務諸表」の知識は必須です。多くの大人は、「簿記・会計・財務諸表」の知識が無い為に、負債過剰に陥り、生活レベルが下がっていきます。


その典型例は住宅ローンです。


あくまでも負債と言うのは、お金を生む資産を購入・構築する為(利益増)のお金です。多くの大人は、“お金を生まない物”を購入する為に借金しているので、生活が苦しくなります。これでは、利益が生まれません。



法学とプロの雇用

 「家計管理・生活収支・貯金」は小中学生で押さえ、高校生では「簿記・会計・財務諸表」を押さえる事が順序でしょう。


「悪徳商法・投資詐欺」と「契約・クーリングオフ」は、既に義務教育で始まっている「法学」をちゃんと勉強する事で、契約書を読む事ができる様になります。法律用語を知っているから、回避できます。但し、現預金があれば、弁護士を都度、雇って更に回避できます。併せて、損害賠償請求も可能となります。つまり、ここでも「簿記・会計・財務諸表」の知識がモノを言う訳です。


最後に「年金・健康保険・税金・税制」と「資産の運用方法(株式・投資信託等)」には、税理士とファイナンシャルプランナを雇えば良いのです。


最も確実性が高い資産構築は、起業に他なりません。自身への投資が最も信頼(管理)できる為です。そこでは「経営学」がモノを言います。経営学には、やはり「簿記・会計・財務諸表」の知識が欠かせません。「簿記・会計・財務諸表」を押さえましょう。

狙うは、簿記二級です。


記事:FP・京秦正法

画像:㈱トレジャープロモート、講演資料/消費者庁

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