明治神宮・一の鳥居で古典芸能「人形浄瑠璃 文楽」

【社会報道】 平成三十一年三月九日に東京・明治神宮にて『~明治神宮奉納公演~にっぽん文楽 in 明治神宮』が行われた。本講演は日本財団(代表理事:笹川陽平)とにっぽん文楽プロジェクトの共同講演。


二十七年から始まったにっぽん文楽は、国内・外へ日本の宝・文楽の価値を広めるべく立ち上げたプロジェクト。奈良・吉野の檜をふんだんに使った本格的な組立て式の舞台を持ち回り、全国各地で開催。舞台は億円単位する。今回は、震災復興支援の熊本城に続き七回目の開催となった。


 会場はオープンにし、後方から無料で立ち見も可能で、有料席もあった。一回当たりの公演時間を短縮し、一日三回に公演数を増やした。演者は太夫・豊竹呂太夫、三味線・鶴澤清介、人形・桐竹勘十郎ら。演目は、道成寺物の名作「日高川入相花王 渡し場の段」と三条小鍛冶宗近が稲荷明神と共に名剣を打ち上げる「小鍛冶」。初めての文楽でも楽しめる演目を選択し、講演は交互に行った。


取材した回は前者。事前に太夫が文楽の楽しみ方や物語、三味線等の役割を解説。初めての観覧であっても、およその話しの流れを理解できる配慮があった。また、客席には外国人客の姿もあり、無料の立ち見エリアには溢れそうな程の観客が訪れていた。


 登場人形は清姫と渡し守の男女一名ずつ。三人で一体の人形を操っているのだが、特に清姫の繊細な動きは指先にまで及んでおり、振る舞いで感情が伝わってくる表現力の高さは圧巻であった。物語が解らずとも、悲しんでいる様や怒りに満ちている様を表現していた。更に、劇中の清姫の変わり身の早さは流石の職人技。清姫の衣装が黒から赤、白、そして赤に戻る。常時、人形が動いているのにも関わらず、物語と調子に合わせて瞬時に変化していく様に驚きを隠せなかった。


同プロジェクトのコンセプトは、「飲みながら食べながら、ゆっくりと文楽を楽しんでもらおう」。場内では埼玉・上尾で、百年以上に亘って酒造りを続ける北西酒造より日本酒・文楽を振る舞った。公演終了後、清姫人形との記念撮影に多くの観客が並んでいた。


撮影記事:岡本早百合

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