氷河期世代の報われない理由

【政治考察】 何故、氷河期世代が割を食っているのか。


厚労省(大臣:根本匠)は、令和元年五月三十一日の「経済財政諮問会議(議長:安倍晋三)」に『二〇四〇年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて』を提出し、今後三年間で就職氷河期世代を支援する。この世代は、浪人留年がない場合で、大卒が三十七歳から四十八歳、高卒は三十三歳から四十四歳(四月現在)。


人口規模は、一千六百八十九万人。生産年齢人口(十五歳から六十四歳)に占める割合は実に二十二.四㌫も占める。この世代の非正規の割合は二十一.九㌫(共に昨年時点)。


当該ニュースへのコメントには「政府の対応が遅すぎる」等の否定的な意見が多い。民間はバブル崩壊後の第三革命からグローバル化し、現在の第四革命に至る。民官双方に氷河期世代を放置した責任がある。第三革命ではネット(仮想世界)の黎明期であり、企業や官公庁がホームページを作り始めた時代だ。YouTubeやLINEはまだ無い時代。氷河期世代は、第三革命に対応できる知識を持ち合わせていなかった。コーディングはもっての他で、タイピング一つ、メーラーの設定一つを何も学校で学んでいなかった。

よって不景気の波の中で事実上、溺れた。



<主権者達が、その内閣を選んだ>

 政府を遡る。現在は安倍内閣。生産年齢人口の二十㌫を占める氷河期世代の強化・救済を行おうとしている。前の野田内閣は三党合意による消費税増税法(五㌫から八㌫)が成立、円高対策は行わず。菅内閣は円高と株価下落、東日本大震災が起こった。鳩山内閣は事業仕分け、副総理の設置。麻生内閣は中小企業への支援として計五十兆円ちかく(保証・貸出枠を含む)。福田内閣ではリーマン・ショックが起きる。安倍内閣(一次)は、ゆとり教育を廃止。


小泉内閣で派遣解禁。非正規増大の原因をつくった。不良債権処理の推進し、郵政民営化によって外資が国内に大きく参入。この時を起点に日本の企業の構造(大株主の構成等)は大きく変貌していき、現在に至る。更に遡り、遠因を探す事もできるが、直近二十年の内閣で氷河期世代は、辛酸を嘗め続けている。


今でこそ叫ばれている主権者教育。氷河期世代は「自身達が主権者である」と教わらなかった。大人達が教えなかった。だから国や社会から冷遇されている。権利を主張し、実行する事によってのみ、成果を得られる。その権利自体を知らなかった。選挙にも疎く、親からは「他人と政治の話をしてはいけない」等と教えられ、政治への知見を増やす事も儘ならない。選挙では、当時の権力ある大人達の言い分によってのみ、氷河期世代は人生を決定づけられていた。


氷河期世代にこそ、政治教育が必要だ。リカレント教育か独学で知見を深め、自身達の権利を主張していくしかない。さもなくば、他の世代の責任を押し付けられるだけである。この国の裁判所は、訴えてきた者のみの話を聴く。日々の生活が苦しいなら、より政治に参加しなければならない。税金は配分するもの。その配分率は、極端に氷河期世代分が少な過ぎるだけなのだ。政治活動・選挙活動なく、税金の配分を多くする事は不可能である。


安倍内閣は氷河期世代に手を付ける。これを機に氷河期世代がまとまる事ができれば、生産年齢人口の二十㌫の意見を政治にぶつける事ができる。


記事:金剛正臣

画像:就職氷河期世代の人生再設計に向けて/内閣府

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