骨太の方針は「好景気」への道筋に、求められる若手の声|経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇(仮称)

【財政報道】 安倍内閣は、令和二年七月八日に来年度予算に直接関与する骨太の方針・原案『経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇(仮称)』を取りまとめて公表。これを受けて十日に自民・西田昌司(戊戌)参議が動画「骨太の方針を竹中平蔵の呪縛から救え!」を公開した。


我が国の財政はコロナ禍により、転換期にある。令和三年度の国家予算は未来を占う。国民、特に若手にとっては人生を左右する程の圧倒的なインパクトを有す。


西田参議は当該動画にて「骨太と言いながらページ数ばかり多くて、メインの話ではなくて細かい話が多いのではないか。」と疑問を呈した。従来通りの個別的な予算を積み上げていくのではなく、財政拡大インフレ策、新規国債発行の大増発)を求めた。理由は「経済自粛によって消費や需要が蒸発して、経済が非常に悪い状態になってきている。」為だ。



<緊縮財政はデフレ策>

 具体的な金額は、毎年一月に内閣が国会に提出する本予算(当初予算、年間の予算)案にてプラス十兆円から二十兆円。昨今は百兆円程度の国家予算となっている。その旨を前日に西田参議は、自民・岸田文雄(丁酉)政調会長に訴えていた。


また西田参議は緊縮財政(デフレ策)の根源は、首相の諮問機関である「経済財政諮問会議/内閣府」と見做す。この諮問会議は平成十三(二〇〇一)年に設置。骨太の方針は、この諮問会議から出ている。「その(骨太の方針の)結果が、今日の脆弱な国土とデフレをつくってきた。」と断言。事実、失われた二十年はデフレ策によって招いてしまった(所得格差や実質賃金の低下等)。


上図の緑色の線グラフがデフレ度合いを示す「GDPデフレータ」。バブル崩壊から平成二十五年まで一貫して右肩下がり(所得減)となっている事が分かる。尚、平成二十八(二〇一六)年にGDPは計算方法が改訂されている。


重ねて西田参議は本諮問会議につき、「そもそもの在り方についての議論をすべき。」と訴えた。


二度とないかもしれない好景気に戻すチャンス

 来年度の予算より国債を大幅に増発できれば、真の好景気への道筋ができる。一重に言えば、働けば働く程に賃金が上がり続ける時代だ。平成時代は賃金が下がり続ける時代だった。


平成時代に間違った理由は簡単である。


それは、日本における貨幣の認識を見誤ったからである。現代の主流派と呼ばれる日本の経済学者や財政学者達が、日本の貨幣を「金属主義」ないし「商品貨幣論」で捉えたからである。実際は「表見主義」ないし「信用貨幣論」だ。話題の「現代貨幣理論(MMT)」は後者。これらは現・経産官僚の中野剛志「日本経済学新論/ちくま新書」に詳しい。


日本と限定するのには、理由がある。自国通貨を政府(中央政府と中央銀行)が発行でき、自国通貨建ての国債が世界市場で信用がある国は財政破綻(デフォルト)しない。米国も含まれる。ドイツ等を含むEUはデフォルトがあり得る。EU各国の中銀の上に「欧州中央銀行」があるからだ。日本は世界トップ級の金融国家である。


そして且つ、変動相場制の下では、政府はインフレ率を上限に財政拡大できる。現在の日銀では二㌫まで。



当事者の若手がSNS等で国債を求めるか、否か

 日本は例外なのだ。世界の圧倒的多数は各国の信用問題より、デフォルトがあり得る。現代の主流派と呼ばれる経済学者や財政学者達が知識を刷新しなかったのだ。これは医者や弁護士、税理士にも当てはまる。毎年、知識は刷新される。その刷新された知識を学ばなければ、誰でも間違うだろう。


詰まり、古い知識(財政緊縮)の学者達を財務省等のエリート達は信じてしまった。彼らの主張を土台に骨太の方針(政策)をつくったら、事実、何年もデフレになってしまった。最大の被害者は若手だ。結果、国民は賃金が下がったにも関わらず、消費税も増税しなければならない程に日本が悪化してしまい、先の人生に希望を見い出せなくなった。


誰が悪いのか。主権者である国民だ。古い知識の財政緊縮に「待った。見間違えている。」と国民が声を挙げなかったからだ。国民の世論ありきの議院内閣制において、独裁はできない。国民が望んでない事もできない。そんな事をしたら、倒閣してしまう。右も左も含め、国民が賃金増・所得増の為に国債を望めば、安倍内閣は大増発できる。



特に若手が望めば、時代はデフレからインフレの好景気時代に入れる。好景気を知らない、ゆとり世代以下は最下部の動画「世界トップGDPの推移」を視聴して欲しい。好景気は国民の声で創れるのだ。氷河期世代とゆとり世代は世代会計が唯一、マイナスの世代。これを穴埋めするには、所得増大しかない。そして今回が、マイナス分を取り戻す最後のチャンスかもしれない。


国債の大増発は人生観が変わる程の大インパクト。但し、国民が望まなければ、今のデフレ派である経済学者・財政学者は諮問会議に居座り続け、平成時代の様にデフレへ突き進む可能性がある。


それ程に、令和三年度の本予算は重大だ。

骨太の方針の原案には「個人が輝き、誰もがどこでも豊かさを実感できる社会」と記されている。


記事:金剛正臣

画像:財政に関する資料/財務省、GDP(暦年系列)/GD Freak!、平成17年度 年次経済財政報告/内閣府

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