菅内閣が第三次『子供・若者 育成支援 推進大綱』を策定、子どもファースト加速

【教育報道】 内閣府(総理:菅義偉)は、令和三年四月六日に第三次『子供・若者 育成支援 推進大綱』を策定・公表した。副題は「全ての子供・若者が自らの居場所を得て、成長・活躍できる社会を目指して」。全四十八頁。本大綱では基本的な方針・施策や施策の推進体制等を記している。


菅内閣は子ども・若者施策を強力に推進しようとしている内閣である。子ども・若者育成支援施策の総合的推進として、本大綱は平成二十八年以来。二十二年施行の『子若法(子ども・若者育成支援推進法)』が基盤。


本大綱では子どもと若者を以下の様に定義した。


  • 子ども;乳幼児期(義務教育年齢に達するまで)、学童期(小学生)及び思春期(中学生からおおむね十八歳まで)の者
  • 若者;思春期、青年期(おおむね十八歳からおおむね三十歳未満まで)の者。施策によっては、ポスト青年期の者(青年期を過ぎ、大学等において社会の各分野を支え、発展させていく資質・能力を養う努力を続けている者や円滑な社会生活を営む上で困難を有する四十歳未満の者)も対象。また思春期の者は、子どもから若者への移行期として施策により、子ども・若者それぞれに該当する場合があ る
  • 青少年;乳幼児期から青年期までの者

<自殺は極めて重大な問題である>

 子ども・若者の両者を取巻く状況を「家庭」「学校」「地域」「情報通信環境(ネット空間)」「就業(働く場)」の五つの「場」に分けた。社会全体の状況と真っ先に挙げたのは「生命・安全の危機」。以下の様に明記した。

とりわけ、十五歳から三十九歳の死因の第一位を自殺が占める状態が続いており、コロナ禍の影響も懸念される自殺は、極めて重大な問題である


第二次でも自殺は明記されていたが、下位だった。OECD調べでは、自殺率(十万人当たり)の日本は世界の中で圧倒的に高い。米国よりも悪い。報道府が主張してきた事が一つ、政府へ届いた。二月にも自殺問題を含む「孤独担当大臣」も設置。有難い。


他にも孤独・孤立の顕在化やWell-being(良好性)、格差拡大への懸念、両者の人権・権利の保障等と状況を的確に分析している。


両者が過ごす「場」毎の状況では、「父母その他の保護者は、子育て・教育に第一義的責任を有する」と保護者の責任を強調。同時に国・地方公共団体の責任も伝え、社会・地域全体で父母等や家庭を支えていく事を求めた。その他、児童虐待や貧困、家族観の変化等も伝える。


<基本的な方針・施策>

方針・施策は五本柱。以下は、一「全ての子ども・若者の健やかな育成」。

  1. 自然・文化体験の充実と一人一台ICT環境の有効活用
  2. 少人数学級の実施
  3. 健康・安全教育
  4. 消費者教育の推進
  5. 社会形成に参画する態度
  6. 若者の雇用安定化


以下は、二「困難を有する子ども・若者やその家族の支援」。

  1. 担当大臣のリーダシップの下での孤独・孤立対策
  2. 自殺・虐待・貧困等への対策
  3. 複合的課題への包括的支援
  4. SNS相談やアウトリーチの充実
  5. SOSを出し、受け止める力の育成


以下は、三「創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援」。

  1. STEAM教育(Science,Technology,Engineering,Art,Mathematics)
  2. 起業家教育
  3. “出る杭”の応援
  4. 地方移住
  5. 地域貢献活動の促進


以下は、四「子ども・若者の成長の為の社会環境の整備」。

  1. 多様な居場所づくり
  2. 子育て支援・家庭教育支援
  3. 地域と学校の協働
  4. ネット利用の適正化
  5. 働き方改革・テレワーク
  6. 子ども・若者への投資の推進


以下は、五「子ども・若者の成長を支える担い手の養成・支援」。

  1. 企業等の参画促進
  2. 教師の資質能力の向上
  3. 専門や地域を超えた共助の推進
  4. 先端技術・データ活用(Child-Youth Tech)



菅内閣はシニア ファーストから子どもファーストへ戻そうとしている内閣。特化機関「こども庁」創設へも動き出している。


0コメント

  • 1000 / 1000