投票率が低いのではなく『期日前投票』に行けないのでは?

【政治コラム】 都議選の真っ最中である。前回の投票率は都Fの登場で五十一.二八㌫。前々回は四十三.五㌫だった。昨年の都知事選では五十五.〇〇㌫。だいたい二人に一人が投票している。東京において、有権者数は一千百万人。実に五百万人も投票を棄権している事になる。


何故か。


政治への関心が無い、興味が薄いという面はあるだろう。私自身、当時二十歳からの十年間は投票に行った事も無かったし、街頭演説も聞いた事も無かった。土日はバイトやプライベート、仕事で忙しい。態々(ワザワザ)、当日の日曜日に投票所に行こうとも思っていなかった。


立候補している人達も当時は、中堅・シニアだらけ。一若者が何の興味を抱くのだろうか。


時折、ほんの少しだけ興味が沸いた候補者が出てきても、期日前の投票所が近くに無い。この近くとは通学・通勤で時間指定されている期日前投票所に間に合わない、という現実だ。




<期日前の投票所の数は妥当なのか>

 今回は江東区を採り上げてみる。江東区は期日前投票所を九ヶ所設置。内、七ヶ所は駅付近に置いており、親切だ。ただ、最上図を視る限り、区民には優しい設置個所とは言い難い。江東区は北東「城東」、北西「深川」と南「湾岸」の三エリアに分かれる。人口が増え続けている豊洲や新砂は湾岸。


期日前投票所は北の城東と深川に寄っており、南の湾岸は一ヶ所。一ヶ所当たりの平均リーチ数は四万七千人だが、偏りがある為、選挙(投票)へのアクセスが不平等だ。新砂はまだしも、豊洲は期日前投票を諦めざるを得ない有権者もいるだろう。


何故ならば、日中は通常不可能なので、朝か夜となる。九時に出勤であれば、八時半からの期日前投票は遅過ぎる。夜は二十時までなので、都心から帰ってくるとなると現実的ではない。期日前の投票所に行けない。これは、どう考えても無職のシニア有利である。


若者・若手の投票率の低さを嘆く前に、投票所へのアクセスを平等にすべきではないだろうか。



ネット投票がベターだが

 ネット投票の話も松田公太(戊申)元参議が牽引する「日本を元気にする会」で推していたが、頓挫。彼は日本にタリーズコーヒーを持ち込んだ実業家だ。頓挫した理由は、議会がITに疎すぎる為だ。ネット投票にはセキュリティの問題等があるが、先ずITが分からない。「ブラック霞が関」問題で如何に永田町がITに疎いかが判明した。


これを打破する為には、法律を作る国会議員の内、半数がITに詳しい必要があるだろう。だからITを議論できる若者・若手となる。中堅・シニアも詳しい議員はいるので、三分の一が若者・若手になれば、ネット投票が真剣に議論できるだろう。



期日前の投票所の増設・移転と時間帯延長案

 そこまではまだ時間を要するので、一先ずは、期日前投票所の増設・移転と時間帯の延長ができるのではないだろうか。これは江東区だけの問題では無い筈である。増設・変更理由は、各自自治体の選挙データから推察できよう。昨年の都知事選で江東区は「江東区役所 本庁舎」に次いで「豊洲シビックセンタ」の期日前投票が多い。


時間帯別のデータでは、「八時半ー九時」は三十分であるので、他の同じ様に一時間と計算すると、「九時ー十時」の五十㌫以上おり、リーチできる可能性がある。終わりの「十九時ー二十時」は、その一つ前の「十八時ー十九時」の七十㌫もおり、もう一、二時間は延長してリーチ数を伸ばすべきだろう。


経費は増すが、選挙(投票)へのアクセスの平等性が大切だ。何よりも働き手世代が子ども・シニアを支えているのに、投票できない環境はおかしい。投票は仕事(納税)の二の次が実際だ。投票所へ行けないと分かれば、選挙に興味を抱く訳が無い。


ひょっとすれば、日本が悪化している理由の一つが、期日前投票所の不足・時間帯かも知れない。若き力を政治へ反映できなければ、どの国でも老いて衰退するもの。歴史が証明している。


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