【政治・経済・財政報道】 岸田総理(丁酉)は、令和四年九月十四日に総理官邸にて第十一回『経済財政諮問会議』及び「政府与党連絡会議」を開催した。経財会議は日本で最重要の会議。
岸田総理は「物価上昇に負けない持続的な賃上げが重要です。賃上げ促進へのインセンティブ強化や中小企業の価格転嫁を促すと共に、人への投資を通じて、成長分野への労働移動やリスキリングを促す事で所得を引上げていきます。
また、成長と分配の好循環の実現には、官民連携の投資と中間層の拡大が鍵です。そうした好循環を持続的に拡大し、成長と財政規律を両立させる事も重要です。」と述べた。
<若年層・少子化・子ども・個人向け>
民間議員は「新内閣の経済財政運営と年後半の重点課題」と「年後半のマクロ経済運営の課題」を岸田内閣へ提出。以下四名が提出者。
- 「経団連」十倉雅和 会長
- 「BNPパリバ証券」中空麻奈
- 「サントリーHD」新浪剛史 代取
- 「東大」柳川範之 教授
前者では、「労働移動や社会参加する事を通じて所得を引上げ、将来への展望を持てるセーフティネットを整備する事で、若年層を含めた中間層を維持・拡大し、活発な消費・投資に繋げ、更なる成長のエンジンとする。」と、セーフティネットを強調。
本年度から再来年度を目途に「更なる投資拡大・サプライサイド強化、更なる分配拡大へと繋がる好循環の拡大を図り、五年程度の内に持続的・安定的な成長経路への移行を実現する。安全保障の強化、待ったなしの少子化対策等への大胆な財政支出は不可欠。」と安保強化と少子化対策への財政支出の念を押した。
また来年度『当初予算』につき、「ロケットスタ ートを実効あるものとすべき『人への投資』強化として、企業向け支援から個人向け支援へのシフト、教育訓練・能力開発等に係る経費を資産と見做した控除制度の検討」と個人向け支援・人材経費の資産化による税制控除を主張した。
少子化・子ども政策では「(マクロ政策)若年世代の雇用確保・賃上げ、成長と分配の好循環」と「(ミクロ政策)保育サービス拡充、育休拡充等」を両輪とした。重ねて、多様な働き方を支援する第二のセーフティネット等の拡充も指し示した。
具体策
後者では、重点を官民連携の「課題解決型 重点投資」とし、コロナ禍で停滞した投資や労働移動促進による生産性向上と持続的な賃金・所得の上昇を求めた。
投資と雇用を動かす政策運営
- 資金繰り支援;緊急措置(実質無利子・無担保融資)から中小企業の収益力向上に政策資源をシフトすべき
- 賃上げ促進;マクロ環境の整備と労働移動を通じた賃金・所得増を目指すべき。「人への投資」を政策面で大胆支援(税制を含む)。人材投資へ積極企業には負担減等の「インセンティブ」、消極企業には「ディスインセンティブ」
- 兼業・副業;スキルアップ支援やステップアップ支援。企業間の競争インセンティブを与える施策を推進すべき(人材投資に関する情報開示等)。「副業・兼業の促進に関するガイドライン」に沿って情報開示を進める。ミスマッチを解消し、兼業・副業を成長分野への労働移動の契機とすべき
長期目標と整合的な物価高対応
- 物価上昇への対応;エネ・食料品に集中した対応。「低所得者」を支援すべき
海外への所得流出を抑制(外需の取込み)
- 円安メリット;「インバウンド需要」「中小の輸出力強化」「対日直接投資の促進」等。対外収支の早期改善と経済構造の強化を図るべき
- 人材不足;中小の輸出力を高める施策をパッケージ化して対応すべき(情報提供やマッチング等)。農林水産物の輸出拡大と共に、外需取込みを地域と中小の活性化に繋げるべき
- 対日直接投資;「価値観を共有できる国」とのサプライチェーンの整備等を通じ、技術人材の育成や賃金上昇、地方発イノベ、輸出拠点の強化、スタートアップ創出等の日本の経済構造を強化する触媒とすべき
画像:総理大臣官邸、資料1-2 新内閣の経済財政運営と年後半の重点課題/内閣府、資料2-2 年後半のマクロ経済運営の課題/同
0コメント